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20代女性がターゲット“では不十分 外食マーケティングの基本ターゲット設定
2016.08.08
外食マーケティングの基本 ~“20代女性がターゲット“では不十分~
飲食店に「この店のターゲットは?」と聞くと・・・「やっぱり20代の女性だね」とか、「この辺で働いている会社員」と答える飲食店は非常に多い。ターゲット設定は実はこれでは全く不十分なのだ。
ホットペッパーグルメでは、このターゲットを明確に、より判りやすくするべく、「外食する人びと図鑑」というペルソナ集を作成。性年代ではくくれない「11のタイプ」をわかりやすくキャラクター化し、飲食店のためのターゲット設定ツールとして活用を薦めている。
20代でこれだけ違う志向と行動
20代の女性といっても、先ほどあげたもの以外にも実はこれだけのタイプが存在し、生活スタイルも違えば、外食傾向も異なる。
※各タイプはある程度年齢に幅を持っているが、最も構成比の高い年齢層をイラスト化している。
堅実女子さん
外食頻度は少なく、予算も控えめ。店選びはWEBや情報誌で慎重だが、食のウンチクにはあまり関心が無い。コスト意識が高く、昼は同僚とお弁当を広げたりすることも多い。
コストパフォーマンス良いお店に行きたいので、ポイントやクーポンなどお得情報があるとウレシイ。
情報セレクトネイティブさん
同世代の中では高給で、外食頻度が高い。情報感度が高く、グルメ、コスメと興味関心の分野も幅広い。
また、交友関係が広く、SNSなどのコミュニケーションツールの使い方も上手で、流行のお店情報などにも詳しい。
決して高級志向なわけではないが、TPOに合わせて色々なお店に出かけるアクティブなタイプ。
今夜もミー★ハーお出かけさん
フットワーク軽く流行の店やスポットに出かけるアクティブな若者。情報源はテレビ番組やCMだが、最近はFacebookやLINEで話題の店もチェックしている。お出かけが多くお金もかかるので、メリハリ消費が必要だからクーポンがあるのもありがたい。自分で情報を取捨選択するよりも、話題になっている店やスポットを経験することに満足感を感じる。
食事=生命維持さん
家にいることが多く、特に必要が無ければ外食はしない。宴会など大人数の酒席は苦手で、出来れば参加はしたくない。
食事はコンビニとか、弁当やとか近所にあるところで済ますことが多いが、安さとボリュームが大事で、野菜が採れたりするとポイントが高い。
自然体リスペクトのマイワールドさん
趣味らしい趣味や主義主張もあまり見せないので、周りから見ると個性が無いようにも見える。
付き合いは悪くなく、外食の頻度も高いが、お店選びは基本的に人任せ。店選びでセンスや自分の好みが問われても嫌だし、あまりこだわりを見せるところではないと思っている。
外食回数の多いオジサンたちはライフスタイルで大きな違い
いわゆるオジサンたちを見てみよう。
ライフステージとしては子供の為の出費や地域での活動などの影響が大きい世代である。
「飲みニケーションミドルさん」は、昔から居酒屋などに生息するご機嫌な飲み好きオトーサンを連想いただくと良い。特徴はコスト意識が高く、味にはそんなにうるさくない。仕事帰りに酒を飲みながら本音で語り合う、そんなシーンが大好きで、飲みに行く回数は減らしたくないから、料金は抑えて、そこそこ美味しければ満足・・・というタイプである。
「自己表現消費さんは」、食について知識やこだわりもあって、外食機会もが最も多いタイプの人々。収入も高めで社用での接待などの機会も多く、また部下や後輩を誘って旨いものを食べながらうんちくをついつい語ってしまったりする。外食で何を飲み食いするかは、自分自身のこだわりが表現される場として重要で、なじみの店の他にも最近のトレンド、流行の店の情報収集も積極的。但し、傍から見ていると結局、王道、定番というケースも多い。
「地元ィパパさん」は、生活の中で地域に関係した活動の比率が高く、地域団体、例えば商工会や祭りの団体やスポーツチームなどの活動に熱心。最新のトレンドや流行のお店は知らないけれど、必要なら金を使う太っ腹なコスト感覚をもった、地域経済の中で頼れるオジサマである。
40代~50代は全性年代の中で最も外食機会の多い世代だが、職業やライフステージは勿論、こうしたタイプによって持っている、好む外食機会は異なるのである。
期待が高まるシニア消費
外食市場で存在感を増しているのがシニア層だ。2007年前後に60歳代を迎えた団塊世代は60歳代後半になった今でも市場に大きな存在感を持っている。
アクティブシニアという言葉に代表されるように、今どきのシニア層は、好奇心旺盛で活動意欲が高く、食べ歩きなど趣味的な外食を好む人々も多いようだ。
シニアだから「和食が多い」「あっさりしたもの」・・・ということではなく、今どきのシニアの食は幅広い。また、長年の人生経験や食に関する知識から、食の安心安全に対する高い意識や、店のQSCに対するシビアな評価を持つ方も比較的多いのも特徴だ。
「オールドボーイさん」は、団塊世代ど真ん中。定年を迎え、子供も独立したのでグルメ、旅行、若い頃の趣味復活など、まさにアクティブシニアという層。アクティブとはいえ、なじみの店でじっくりと旬の食と酒を楽しむなど、自分の好みやペースを大切にしている、悠々自適なタイプである。
「ファミリーゼさん」は長年の主婦生活から食への知識も豊富で、外食には、素材へのこだわりやサービスなど「さすがプロ!」と思わせてくれるよう「価値」を求める。家族との外食が殆どだが、情報源はTV、インターネット、雑誌と多彩で、口コミを細かくチェックなど、大切な家族との晩餐を失敗させない確かな選球眼が自他ともに自慢だ。
外食する人びと図鑑は全11タイプ
この「外食する人びと図鑑」は全部で11のタイプ。このペルソナは、ターゲット設定を“指さし会話帳”のように簡単に楽しく出来ることを目指して作成したものであるが、一つ一つのターゲットをより深く、明確にイメージすることは非常に大切で、出来るだけ具体的に描くことが重要。一つ一つのタイプにはイメージしやすいように、居住地や年齢、家族構成、職業、年収、所有している車etc.出来る限り詳細にプロフィールを例示してある。ターゲット設定する際には、このように出来るだけ詳細かつ具体的にイメージすることが重要で、そのターゲットが求めることや関心ごとなどをさらにイメージし、自社の商品サービスの企画、販売促進などに活かしていただきたい。
また、従業員と一緒に自店のターゲットについて具体的にディスカッションしていただくことも効果的と思われ、「ウチの店はこれだよね?」「それ以外にもココは狙えるんじゃないか?」「じゃぁどういう接客をすると良いか?」etc. 話し合うことで、従業員がよりお客様を理解することにつながるはずである。
より詳しいデータは、拙著「外食マーケティングの極意」言視舎 にてより詳しく解説しているので、ご興味ある方は是非ご活用いただきたい。
竹田 邦弘ホットペッパーグルメ外食総研 エヴァンジェリスト