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日本料理のイロハ五法を知り、「割烹料理」を堪能しよう

日本料理の割主烹従について解説し、日本食の魅力にせまります。そこには伝統的に大切にしてきた教え、炎を使う調理法「五法」がありました。「五法」とは火を使った料理法のことで、5つの技法に分類されます。どれも素材の旨味を活かすための、日本の伝統的な料理手法です。


世界で評価されている日本料理。多くの外国人を虜にしています。本来、お肉や、パンなどの小麦類が主食だった欧米の方に、日本料理の味を評価してもらうことは難しいことのように感じます。しかし、外国人を魅了しているということは、日本で大事にされてきた料理のポイントが世界に通用したということでしょう。その料理のポイントとは、日本食の文化の中で重視されてきた考え「割主烹従」と、食材に活力を吹き込むために炎を使う調理法「五法」です。日本食を支えるこの2つのポイントはどのようなものなのでしょうか?

日本料理の土台に根付く「割主烹従」という考え

日本料理のアイデンティティとは、ずばり「割主烹従」と言えます。短縮した「割烹」は、日本料理店の看板によく見かける通り、「日本料理店」を言い表す言葉。しかしその意味を知っているかというと「?」と感じるかもしれません。この言葉は「割く(切る=生のまま)が主で、火を通すのは二の次」という意味なのですが、日本料理は素材そのものの鮮度を大事にしている、ということなのです。そもそも生の状態は独特の風味があります。アクがあったり、「生」といっても食材自体は死んでいるため、生きているときに必要だったものが、臭味や嫌味に変わります。そこで、焼く、煮る、蒸す、揚げるといった炎を使った料理法で、臭味や嫌味を取り除いたり、本来死によって失われた活力を吹き込むのです。「割主烹従」は、生の状態の旨味を最上とし、その旨味だけを引き出すのに火を使うということです。

日本料理の大切な教え、五法

この、素材に活力を吹き込むために炎を使う調理法を「五法」と言います。古代からの知恵とも言える殺菌手段である「焼く」、素材に味を染みこませる「煮る」、ふっくらとした柔らかな歯触りで安心感をあたえてくれる「蒸す」、耳触りにも心地よい食感と満腹感を感じさせてくれる「揚げる」と、この五法にはこれまでの人間の英知が凝縮されていると言っても過言ではないのではないでしょうか。

ただの殺菌ではない、“息吹を吹き込む”「焼く」という調理法

「焼」という字は、「火」で「高温」にすることを意味しますが、調理法としての「焼く」は、食材を温めるのではなく、生きていたときに必要だった水分を抜く役割を果たします。ちょうどよく水分を抜くと、例えばヤマメやアユなどは生きていたころより膨らみ、パンパンになります。

現代だからこそ食べられる、日本料理の「生食文化」

「割主烹従」は伝統的に日本料理の重要ポイントでしたが、実際は生で食べられる食材は少なかったことはすでに触れました。しかし現代流通の発達により生で愉しめるようになった食材があります。「野菜」と「魚」です。産地の近くでなければ味わえなかった鮮度で野菜と魚が頂けるようになったのです。例えばなんと鱈の刺身を愉しむことが出来ます。鱈は、「たらふく」といわれるほどにがっつく雑食性のため腐りやすく、一般には冬の鍋料理の一具材として知られますが、獲ってすぐのものであれば、刺身で愉しむことができます。以前は日本海側などの産地でしか食べられませんでしたが、今は東京でも楽しめるのです。一方野菜の鮮度は一見わかりにくいかもしれませんが、その力を十分に堪能させてくれるお店が増えてきています。いずれにせよ、現代でなければ味わえない割主烹従の料理です。

お客さんを喜ばせる炎を使った調理法

炎を使ったほかの3つの調理法もそれぞれ役割が違います。「煮」は本来失われた水分を補充したり、調味料やだしを吹き込むのに使い、「蒸」は高温の蒸気で包むことで、やさしく柔らかな食感に仕上げます。「揚」は江戸時代に日本料理に取り入れられた手法で、ボリュームを出すために使われます。日本料理は、これらと「生(切るだけ)」を合わせた全部で5つの調理法を駆使して、お客さんを喜ばせようとするのです。この姿勢は、もはや他ジャンルの料理にも浸透しています。

とあるフランス料理レストランでは、若狭焼と揚げるの両方が盛り込まれた料理もあるようです。アマダイの鱗をパリッと立たせるように焼きあげる一方で、ボリュームに欠ける白身は軽く揚げていますが、京料理の代表格若狭焼との相性は良さそう。和と洋の融合というのも粋なものですよね。

日本食に舌鼓を打てるお店

世界で認められる日本料理、その美味追及の仕方である「割主烹従」。この言葉の意味を堪能できそうなお店を最後にまとめてご紹介しましょう。お近くのお店や、気分に応じたお店で、是非日本食の真髄をご賞味ください。

和膳 いい田

人形町の路地裏に構える本格和食店「和膳 いい田」は、出汁や素材にこだわり抜くという「和の真髄」を体現するお店。

和膳 いい田  (人形町/和食)

電話番号
03-6206-2279
平均予算
5000円
アクセス
地下鉄日比谷線 人形町駅 A1番出口 徒歩2分

一ツ木 竹林草

港区で日本料理を楽しみたいのなら赤坂見附の「一ツ木 竹林草」に行ってみてはいかがでしょうか。食材へのこだわりもさることながら、落ち着いた座敷や賑やかなカウンター席のある店内は、大切なお客様のおもてなしの時でも安心して利用できます。

一ツ木 竹林草  (赤坂・赤坂見附/和食)

電話番号
03-3582-9490
平均予算
12000円
アクセス
赤坂見附駅から徒歩2分

和食 彩

カジュアルな雰囲気ながらも日本食の真髄である「新鮮な素材」を楽しめるのが、荻窪の「和食 彩」。千葉近海で獲れるという牡蠣やハマグリなどの新鮮な食材を、「五法」を用いて舌を楽しませてくれます。

旬菜鮨割烹 菘

極上の料理を味わいつくすことができる本格割烹コースがあります。素材を築地や全国から厳選しており、その料理の数々は盛り付けも鮮やかな匠の技が光ります。

鮨の与志喜

和食の板前さんによる本格的な割烹料理とや懐石料理を楽しむことができます。季節の一品料理や珍味が常時20種類以上そろっており、満足できること間違いなしでしょう。


※本記事は2015/12/09に公開されています。記事に書かれている内容は現在異なる場合がございますので、最新の情報は直接店舗にご確認ください。

この記事を書いたライター

Stone
純粋に「食」を楽しむのももちろん好きですが、「食べること」全般のコラムをよく書いています。

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