静岡名物の骨スナック「うなぎボーン」をあの手この手で料理してみた

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「うなぎボーン」――それはウナギ骨をカリカリに揚げたスナック。
ものの見事に名前のまんまなんですが、静岡県内の土産物屋や高速道路のPA・SA、駅の売店などで売っています。
(本当は「どこでも売ってる」と書きたかったのに、意外と地元のスーパーやドラッグストアには置いてなかった……)

 

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繰り返し言いますが、見たまんまですね。骨丸出し。
バリボリした食感と、香ばしい素材そのものの味というか、至ってシンプルな味わいです。見た目がちょっと虫っぽいのでビジュアルがダメな人もいると思います。
(※そういう人はこの先を見ない方がいいです)

廃棄していたウナギの背骨を活用するために浜名湖界隈で生まれた製品で、スタンダードな醤油味や塩味の他に、ガーリック味、わさび味など、各社で味のバリエーションもさまざま。カルシウムたっぷりであることは言うまでもなく、ウナギの身に含まれているビタミンAや、スタミナの素といわれるビタミンB群も豊富なので、子供や妊婦さんにも絶賛おすすめのスナックです。

 

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もちろん、ビールにもピッタリ!

成分表を見てみましょう。

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醤油味(左)の方が塩分控えめ、カルシウム、ビタミンAともに塩味(右)より豊富で栄養価は高そうです。どちらも揚げ菓子なので脂質はそれなりにあります。
むしろ構成要素のトップは脂質。

そう、脂質!
この「うなぎボーン」、食べ始めるとバリバリ止まらなくなるウマさなんですが、揚げ菓子なので大量に食べるもんじゃない。年とともに、後で胃腸にくる……。でもまだ大量にあるし……そうだ! 料理に使えばいいんじゃない!?(テーレッテレー)
というわけで、やってみました。

 

あの手この手で料理して「うなぎボーン」の新たな魅力を探ってみるレポート

まずは、使いやすくするために砕きます。

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うなぎボーンを袋に入れて。

 

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めん棒などでガンガン粉々になるまで叩き割る。結構かたくて骨がある……っていうか骨なので重労働。 頑張って砕いたつもりでも粗め。これを使っていきます。

 

うなぎボーンポテサラ

くるみやポテチのようにカリカリサクサクとした食感を期待して、ポテトサラダに多めに混ぜてみようー。ついでに上にもトッピング。

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うなぎボーンの存在感(食感)が強すぎる。

非常にバリバリするうなぎボーンが、バリバリの状態を保ったまま、滑らかな舌触りのポテサラの邪魔をしてきます。

味に奥行きが……出ねぇよ。

時間が経ったらなじんでしっとりするかと思いきや、彼らは頑としてバリバリのまま。さすがボーン
(ポテサラが大好きな4歳児にも出してみましたが、茶色い粒をつまんで「これ出してー!」と……いやそれ超ムズい!)

なるほど……そっちがその気なら!

 

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ふりかけ?
ノンノン。ポテサラと同じの結末にはさせねぇよ。

この粉末を、こう!

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うなぎボーン茶漬け

多少の熱では動じないことが分かったので、お茶漬けに。
ネギ、刻み海苔、胡麻、梅干、わさびを少々のせて。

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おぉこれは……! めっちゃご飯が進むやつ!

さすがにあのバリバリ感も弱まり、少しふやけたボーンから旨味が染み出て、さっぱりしたお茶漬けにコクが出ます。香ばしい天かす茶漬け的な味わい。

 

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お昼ごはんとして、あっという間に食べてしまった。もう1杯イケますね。

少し光が見えてきたので、次の調理法。

 

うなぎボーン衣のチキンカツ

うなぎボーンを揚げ衣にしてチキンカツを作ると。

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めん棒が面倒になってきたのでミキサーでガーッとやりましたが、中を見て激しく動揺しました。

『ウウッ……油が分離しとる……』

油脂分が遠心分離して、ミキサーの内壁にベタッとはりついています。
(ショックで画像は撮り忘れました)

 

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余計な油分を飛ばすために、少しおいて乾燥させてからパン粉を同量混ぜました。これで多少サラサラ感を取り戻しました(心も落ち着きを取り戻しました)

 

そして、小麦粉、卵液をくぐらせたチキンカツに、ボーン衣をまぶす。

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まぶしやすーい! ボーン衣が多少しっとりしているせいか、まんべんなくカツにはりついてくれます。作り手としては地味に嬉しいです。

そして普通に揚げて完成。

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白い部分がボーンの「ボーンだった部分」。

 

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サックサク! サックサクやー!!

揚げる感触で期待値が上がりましたが、サックサクでジューシー!

遠くの方で「うなぎボーン」だった時代の風味も感じられます。心配していた油っぽさは感じません。衣もくっついたままだし上出来!

ちなみにしれっと夕食で出したところ、ほんのり漂う魚の風味に「たたみいわし入れた?」と言われました。揚げ衣、イケる!

これまでのチャレンジで、ボーンはそのまま使うよりも、水分に浸すか火を通すなりして、油分を調整した方が良さそうだったので、最後にじっくり浸して炊くことにします。

 

うなぎボーン炊き込みご飯

お米2合に袋1杯(70g)のうなぎボーンを炊飯器にザバっと入れ、彩りに人参も入れます。うなぎボーン自体の味付けが控えめなので、醤油とお酒を各大さじ1も。

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どうしよう見た目がヤバい。
でもスイッチを入れて30分後、炊飯器から香ばしい匂いが漂ってきました。

これは…焼きおにぎり!!

海苔を巻いたばかりのおにぎり、少し醤油が焦げたような焼きおにぎりの香りです。俄然イケる予感がする!

そしてピロピロリ~♪(炊飯終了)

 

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ウッ……やっぱり見た目が強烈……。

 

でもしゃもじでかき混ぜると、

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いいんじゃない!? 
お米もうっすら色付いて、炊き込みご飯らしい姿になりました(よね?)

 

では実食。

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起きちゃったな、奇跡。

元がシンプルで素朴な味なので、薄味ながらも「うなぎボーン」の出汁と香ばしい風味がふわっと漂い、全体的に優しい味。見た目斬新なのにどこか懐かしい味。

 

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ボーンもすっかりトゲトゲしさがとれ、具として食べやすくなりました。
お前も丸くなったもんだ。

 

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本日のお昼ごはん。
超インスタント味噌汁「かちゅーゆ」と合わせて。ごちそう様でした! 
というわけで、ベスト・オブ・「うなぎボーンレシピ」は――。

 

炊き込みご飯!(ワァァァ~~~~!!

 

味だけでいえばお茶漬けも捨てがたいですが、砕く手間もいらないので総合力で炊き込みご飯。ビジュアルが気になる人は細かく砕いて炊飯器に入れてください。
さて、炊き込みご飯を食べ終えたので、デザート。

 

うなぎボーンアイス(バニラ)

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ナニコレ……甘じょっぱくて美味しい!

チョコレートでコーティングしたポテチのような、ハッピーターンのような、あの類のクセになる味です。見た目も「バースデーケーキ」っぽくて、なんだかおめでたい。 というわけで、

炊き込みごはん≧茶漬け>うなぎボーンアイス

個人的にはこの順でおすすめします。

この夏は、夏バテ解消や疲労回復を期待して、「うなぎボーン」はいかがでしょうか?

 

※ちなみにいくら地元とはいえ「うなぎボーン」が食べきれないほど大量に余るシチュエーションにはまず遭遇しないので、ものすごく限定したシチュエーションが発生した際には、満を持して炊き込みご飯!です。

 

書いた人:山口紗佳

山口紗佳

ビアジャーナリスト/ビアテイスター 1982年愛知県出身、名古屋と東京の編集プロダクションで雑誌や広告、書籍の制作経験を経て、静岡県西部でビール代を稼ぐフリーライターに。休日はオートバイで食材調達ツーリング。ビールとバイクと赤が好き。

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