地元(厚岸)にうまいものがありすぎて困る
どうも、ちみをです。道産子です。
たまに北海道の実家(厚岸)に帰ると、地元のうまいものをかっこみ過ぎて胃を悪くするのがお決まりルーティンです。
ただ18歳のときに実家を離れてしまっているため、最近は「自分はイマイチ地元がどういうところかがわかってないのでは?」という思いがジワジワと募り始めました。
「酒の飲める年齢」と「酒の飲めない年齢」では、感じる街の魅力は全然違うのでは? ということに気がついてしまったからですね。
じゃあせっかくだから、帰省の際に今一度、地元の食をお勉強させてもらいつつ経費でおいしもの食べたいぞという邪なお気持ちでこちらにお邪魔してまいりました。
地元の直売店に赴く
▲厚岸漁業協同組合直売店「エーウロコ」
地元の漁協・厚岸漁業協同組合が運営する直売店。駅から歩いて15分程度、車やタクシーなら一瞬だ。
▲地元の食材がズラリ
▲目玉は当然、牡蠣。この品ぞろえ、そしてこの値段
▲ブランド魚介が充実
▲冷凍品、加工品も一生かかっても食べきれない程度に充実しており、お土産も安心
そして、ここのスゴいところは「その場でいけすの牡蠣やその他海鮮を食べられる」ところで、
- 牡蠣は生 or レンジ調理で食べられる
- その他魚介も+50円でキレイな刺し身してくれる
- もちろん缶ビールもおいている
というすばらしい環境なので、超安心して飲みに行けるスポットなのです。
宴会の準備を開始します
▲対応していただいた渡邊さん
さっそく、取材にお付き合いいただく渡邊さんと本日のメニューを考えます。
▲渡邊さん「生食なら大きすぎないサイズが良いですね、大きいのはレンチンが良いです」
ブランドもサイズも種類が豊富過ぎて選べないので、もうオマカセ。
▲「牡蠣はモチロンですが、白貝がうまいので食べてください」
▲「ツブもうまいです、あ、あとホッキも」
という感じで、言われるがままあっと言う間にドリームチームが完成します。
▲今日のスタメン
- マルえもん3Lサイズ:180円
- カキえもんLLサイズ:200円
- 弁天かきA3サイズ:180円
- ほっき:130円
- つぶ:458円
- 白貝3枚:120円
- ツブとホッキをさばいてもらって100円
しめてお値段なんと「1,368円」。
都内の相場に慣れてしまった私には全然理解できない衝撃の金額です。
食べます
▲牡蠣は全部銘柄が違いますが、素人には見分けがつかないので名札をいただく
▲マルえもん(3L)と白貝は、備え付けのラップに包んで
▲レンチン
▲ほかぁぁ
ここでツブとホッキの刺身、ビールも合流。
▲なんだかすごいことになっちゃったぞ
▲レンチン牡蠣は言われたとおり、豊満なマルえもん(3L)で大正解。食べ応え半端なし
▲カキえもん(LL)
こっちは殻は大きく無いですが身がビッシリ、濃厚。「海のミルクってこういうことだな」と勝手に納得。
ココでたまらずビールを開封。
▲カシュ
▲弁天牡蠣A3
「ブルンッ」という擬音が似合う体つきで、コレまた極めて濃厚。
渡邊さん:どちらも地元産の稚貝から育てた純厚岸産です。産まれたときから寒い海にいるので、身の締りが良いです。
特に弁天牡蠣は目下売り出し中の新ブランドで、カキえもんの濃厚さのまま、より大きく育つタイプとのこと。
渡邊さん:牡蠣は殻の下がプクッと深いものが、育ちが良くてうまいんです。
▲渡邊さん「こうなってるのが身が入ってて良い牡蠣です」
▲ちなみに、牡蠣の開け方シートがあるので初めてでも安心
▲don't be afraid
▲白貝はクセが無く上品なお味
▲左ツブ、右ホッキ
▲ツブの肝がまたネットリかつセクシー。さらにビールがはかどります
ホッキもそうですが、特にツブってさばくのメッチャ大変で難しいんですよ。それを+50円でやってくれるなんて驚異。ビールがはかどって仕方がないのです。
渡邊さん:今は時季じゃないのでありませんが、秋刀魚(サンマ)なんかも刺身にすると最高です。
その場で秋刀魚を刺身にしてくれるとはなんとぜいたくな。というか旬になると1匹50円とかで売っているので実質「新鮮な秋刀魚の刺身が100円程度で食べられる」という事です。(※注:日本の話です)
なんでこんなに安いの?
とにもかくにも、魚介がめちゃめちゃに安いんですね、こちら。
▲ツブ
▲ソイ
▲前に来たときはサバも
▲タラも爆安
グラム10円って。
どれもコレもエラい安いんですが、
渡邊さん:やっぱり、漁師町ですから。
そう、漁師町なので漁師さんが住んでますね。漁師さんは漁をしますね。漁をすると新鮮な魚介が手に入りますね。新鮮な魚介をウチでも食べますね。おすそわけもしますね。結果、地元民はお店で魚を買わなくなりますね。
そうなると「漁師町で地元民に魚介を売るのは超ハードルが高くなる」ため、地元スーパーには安くて良いものが並ぶ、ということですね。
渡邊さん:地元の他のスーパーさんもけっこう安く売ってますからね、負けられないですよ。
レアな食材に出合える
▲タコとんび(タコの口)
これはこのまましゃぶりつく感じで食べるとのこと。
▲タコまんま(タコの卵)
謎すぎる物体ですが刺し身、煮付けなどがおいしいとのこと。
▲柳の舞という魚
メバルの仲間で煮付けやソテーがおいしいとのこと。名前がかっこいい。
厚岸出身の自分でも食べたことのないものがたくさんあります。
▲ホヤかな? 値札もついてませんでした。なんだろう
渡邊さん:どれも漁師さんの間ではメジャーですけどね。
地元民どころか漁業関係者の間でしかなじみの薄いレア食材に出合えて、食べ方も聞けるのはこういった施設ならではですね。
何月に来るのがオススメ?
渡邊さん:牡蠣は1年中食べられますし、いつ来ても何かしら旬の魚介があると思います。
▲パンフレットの旬カレンダー
確かに、いつでも何かが旬!
訪れるたびに違う楽しみ、新たな発見ができそう。とりあえず何時でも生牡蠣が食べられるのはうれしい。
渡邊さん:加工品は通年ほぼ変わらずありますから。オススメは糠サンマと甘酢漬ですね。
▲渡邊さん一押し
加工品は旬に捕って冷凍されるので、いつでもおいしいです。
とは言え、厚岸は遠いじゃないですか
という感じで昼間っから満腹のホロ酔いにさせてもらいまして、ぜひここは皆さんにも訪れて欲しいミラクルスポットなのですが、
「遠くね?」
という声が聞こえてきますね。
たしかに、物理的には、遠いです。ですが、ココまでレポートしたとおり、それを補って余りある「超安い、超新鮮、超酔える」の三拍子が約束されます。
都内などから向かうと遠いは遠いですが、アジア近辺の海外旅行と比較してみるとさほどコストは変わらず、あと当然同じ国内なので「レンタカー」という手段も視野に入れやすいのが非常に大きいかと。
さらに、同じ北海道でもココまで東の端にくると、町並みも自然も札幌近辺とは全く別物になり、ほどよい冒険感のある旅行先としては非常に優秀だと思われます。
厚岸出身者のオススメする、道東弾丸旅行プラン
では、どういう旅行プランが良いでしょう?
道東出身者かつ東京在住という目線から、間違いなく楽しめて、かつ週末に行ける弾丸プランを考えて見ました。
【1日目】
- 午前中着便で釧路空港へ(レンタカーを借りるのがオススメ)
↓
- 釧路市内に移動してランチ、オススメは泉屋のスパカツ(鉄板にのったスパゲティミートソースにトンカツがonされたB級飯)
↓
- 厚岸に移動。宿泊先に荷物と車を置いて「エーウロコ」に行き、牡蠣とか食べて日の高いうちから酔っ払う(16:30までの営業なので注意)
↓
- あとは地元の居酒屋さんとか、もしくは地元スーパーやセイコーマートで食材を買い込んでひたすら飲む
↓
- 就寝
【2日目】
- 温泉day。朝から川湯温泉にGO(車で2hほどの温泉。日帰りなら「川湯 公衆浴場」がベター。草津に匹敵する強酸性で泉質最高なのに、大人250円)
↓
- 温泉後のランチは弟子屈町に移動して「弟子屈ラーメン」、または「昇龍軒」(春巻きがおいしい中華屋さん)がオススメ
↓
- ご飯を食べたらタラタラとドライブ、屈斜路湖周辺や摩周湖、硫黄山で温泉卵も食べましょう
↓
- 釧路空港に移動、夜の便で帰宅
とりあえず「川湯公衆浴場」は秘湯感あって良いです。俺的マスト。
最後通告:ココまで言ってもまだ厚岸に興味の沸かないあなたへ
最後にムキになって書きます。
さて、旅行プランまで提示して我がふるさとを推しに推したわけですが、これはただの「おらが村自慢」というだけではなく、「日本の田舎を知る」楽しさに触れていただきたいという思いがあるからです。
田舎は大変です。
日本は一極集中が進み、今では人口の5割が三大都市圏がしめ、過疎が進んだ田舎は経済も衰退の一途、「ひょろ長い島国」であるがゆえの地政学的なキツさも感じます。
しかし裏を返せば、それだけ多種多様な自然と文化があり、適度な移動の難しさもあって土地土地の個性が生まれやすい島国である、とも言えます。つまり「日本のなかにたくさんの外国がある」のです。
これらの地理的な条件は、本邦の食文化に広範さと深さをもたらします。食材、調理法、環境、作法を含めた広義の「食事」の多面的な個性を醸成するのです。
要するに、
「地方でご飯を食べることは、その地方を理解する一番の取っ掛かり」
なのではないでしょうか。
魚介の身の締りから海の厳しさを、発酵食の塩気からは長い越冬生活を、牛乳のコクからは草原と農家の苦労が、都会のお店では感じられない距離感とリアリティーで感じられる。あの瞬間こそが「旅」と言っても差し支えないと思います。
▲牡蠣は通販も可能。ホームパーティーして牡蠣グラタンなど振る舞うとモテます(確信)
アグリツーリズムとまでとは言いませんが、地方に赴き地のご飯を食べるだけで得られる圧倒的な満足感と情報量はエンタメとしてとっても優秀。さらに下手に海外に行くより安全で気軽。皆さんも行ったことのない日本の田舎、たくさんありませんか???
というわけで、食文化異常発達国家日本、まだまだ楽しんで行きましょう。
(手始めに道東からどうぞ。雪も割合少ないですよ)