メシ通レポーターの塩月です。今日は皆さまに、私の故郷、宮崎県が誇る「てげすごくいい」お店をご紹介します! (「てげ」は「すごく」という意味の方言です)
歌舞伎町で35年! 県外出身者にも大評判
歌舞伎町のセントラルロードに入り直進。新宿東宝ビル(旧新宿コマ劇場跡)の、向かって右側奥へさらに進んで……、
通りの奥の角にあるタテハナビルの地下1階にお店はあります。
お店の入口に到着しました。
お店を経営するのは宮崎県都城市出身の廣底政信さん。21歳で起業して今年8月で35周年。当初は宮崎県出身の憩いの場的な色合いが濃いお店でしたが、じわじわと草の根で常連客を増やし、今では県外出身者のお客さんが半数を占めるほどです。
独特な雰囲気のある新宿歌舞伎町で、地方の郷土料理店が長年人々を引きつける理由は何なのでしょうか。
答えは後ほどにして、まずはお店をご案内しましょう。
約80人を収容する店内は、木目調の長テーブルや丸テーブルが置かれ、入り口付近には個室風の10人掛けのボックス席もあります。
焼酎の種類ももちろん沢山あります。宮崎は芋焼酎が主流です。
みんな大好き! 宮崎料理の定番メニュー
お店の好評メニューをうかがいました。宮崎料理といえば?
そう、「チキン南蛮」!(650円)
「みやこんじょ」でも第1位のメニューです。最近は「チキン南蛮」を食べに来店する他県出身のお客さんも増えたそうで、「すっかり全国区になったよねえ」としみじみ語る廣底社長。
宮崎では、「チキン南蛮」に使うのは胸肉か? もも肉か? という、ちょっとした論争があるのですが、「みやこんじょ」ではジューシーなもも肉を使用。大きな一枚肉をからりと揚げ、甘酢に浸してから、特製タルタルソースをかけてくれます。
このこってり感がたまらない!
第2位の「地鶏の炭火焼」、第3位の「鶏のタタキ」に続き好評なのがこれ。
「がね」(500円)。
「がね」とは、サツマイモやニンジンといった野菜のかき揚げのこと。宮崎だけでなく鹿児島や熊本といった、九州南部の一部地域で食べられる郷土料理です。「みやこんじょ」の「がね」は、さっくりとした歯ごえと素材や衣の甘さで女性に好評。スイーツとして食べるお客さんも多いのだとか。
第5位の「レタス巻」(650円)は、茹でたエビとレタスを酢飯で巻いた太巻き。宮崎では全国的な「サラダ巻き」より「レタス巻き」が主流で、宮崎市内にはメニューを考案した寿司店があり、元祖として愛されています。
第8位の「延岡めひかりのから揚げ」(600円)は、大分県寄りの海沿いの街、延岡市土々呂町で採れるメヒカリという深海魚を揚げたもの。
いつもながら、この4品は間違いないなぁ。
シメは「冷汁」(650円)で。しっかり濃いめの味付けです。
知らないお客さん同士が自然と打ち解けあえる
お店のオープンは18時。開店と同時に次々とお客さんが訪れ、各テーブルで乾杯が始まっています。
ところで写真のお三方、一緒に来たのではありません。皆さん、お一人様のお客さんです。なのにカンパイしちゃってる。こ、れ、ぞ、「みやこんじょ」の醍醐味!
ちなみに、お客さんの多くはキープボトルありマス。宮崎県人が多いテーブルだと黒霧島より白霧島率、高し。
さて。わたしも少しガソリンを入れて、ちょっと常連客の皆さんにお話を聞いて回りましょう。
超常連客で ボトルキープナンバー1番、立川さん。なんと24年、ほぼ毎週通っているそうです。
ちなみに立川さんがいつも頼むものは、「都城直送豚ハラミ焼き」(650円)。
これ頼んだことなかったな~。一口いただくと、うん! ジューシー。噛むと肉汁が。
続いて大分県出身の常連、矢野さん。「みやこんじょ」の良さはどういったところですか?
「誰とでも会話して飲めるところかな」
ちなみに矢野さんが一番好きなメニューは「手羽先揚げ」(650円)。「名古屋の手羽先に負けてない!」んだそうです。
最初に宮崎県出身の友人に連れてきてもらって以来、一人でも来るようになり、もう10年という矢野さん。大分の郷土料理店には行かないのかと尋ねてみると「大分のお店も調べたけど結局行かなかったんだよ〜」。店を外からのぞいてみたが、盛り上がってなかったので暖簾はくぐらなかったそう。こういうこと、ありますよね。
そこへいくと、「みやこんじょ」は一風変わったお店なのかもしれません。なにしろ廣底社長をはじめ、時折、各テーブルを回り、場を盛り上げ、隣席同士をつなげてくれるスタッフがいるんですから。矢野さんも「1人で来ても、こっちに呼ばれて、あっちに呼ばれてと、楽しめる」と太鼓判。
そう、チキン南蛮や冷や汁よりも“ウマイもん”は、この「距離感の近さ」にありました!
というか廣底社長(右)、ホントあちこちの席で飲んでる……。
お店が誕生日を祝ってくれる!
「みやこんじょ」の廣底社長は、予約の段階でできるだけ女性グループと男性グループを隣り合わせにするようにするそう。
いいですね~。ここから出会いが生まれるかも。
というか、実際に恋が生まれることもあります。
常連・尾上さんは、このお店で知り会った茨城県出身の女性と結婚されました! たまたま来ていた隣のグループの女性と連絡先を交換。交際3年を経て結婚し、いまでは2歳の"みやこんじょチルドレン"も。
お客さん同士だけじゃなく、お店側がバースデーのお祝いをしてくれる恒例イベントも! 予約が必要なのですが、その月に誕生日を迎える来店客をお店全体で祝ってくれます。いまではその数、なんと年間2,000人にも及ぶそう。幹事がサプライズで頼んでいることが多いのだとか。
お店から贈られる手作りケーキとシャンパン、記念Tシャツが、お祝いムードを高めます。
もちろん、宮崎料理は食べたいけど仲間内だけでわいわい楽しみたい! という人もいるでしょう。
そうした方には、同じフロアにある、貸し切り専用の別室「みやこんじょ2」がおすすめ。10人からの予約可&ひとり4,000円で、料理と飲み放題付き! 最大30人収容でき、お子さん連れのグループや大学生のサークル、会社の飲み会などに使われているそうです。
さて今夜も満喫したし、そろそろ帰ろう。お土産用には漬物の缶詰や、名産品の一つの破れ饅頭も販売しています。
廣底社長の口癖は「うちの財産はお客さんです」。
この記事を執筆している筆者も、このお店のおかげでいろいろな人に出会いました。看護師、消防士や警官、 官僚、スーツの仕立て職人、プロボクサー……。隣席の人との距離が、とても近いんですよね。もちろん、それはお店側が上手に会話の中で合いそうな人同士を見つけて、つなげてくれるから。
ちなみに最近、一番感動した出会いは北条氏と関東平野について熱く語る小田原市民に出会ったこと。宮崎の郷土料理店ですが、職業も年齢や出身地も超えて、不思議なご縁がつながる。そんなお店なのです。
銀座の真ん中にも「宮崎」が!
筋金入りの常連客の中には、もう1軒、さらに「みやこんじょ」をハシゴする方もいます。
それは、「宮崎料理 銀座 みやこんじょ」。
「みやこんじょ」の常連客にとって、新宿店にしか行かないのは東京に来て東京タワーだけ登って、スカイツリーに登らず帰るようなもの!
場所は銀座並木通り。有楽町駅を背に、晴海通りから並木通り交差点を右に曲がり、10歩も歩かないうちに見つけました。銀座店の黄色い看板。
エレベーターを上がると、あります。「宮崎料理 銀座 みやこんじょ」。
こちらは少しお洒落な雰囲気の店内で、廣底さんの長男の玲央(れお)さんが店長を担当しています。
はい、ここでも常連さんをたくさん発見。かんぱ〜い!
後日、「みやこんじょ」から封筒が届きました。実はお店の慣例として、来店客はテーブルごとに写真を撮ってもらえて後日、郵送で送ってくれるのです。なんとも「みやこんじょ」らしい心遣いですね。
うーん、感謝!
こうした積み重ねがリピーターを生むのですね。
達筆な文字で書かれた「愛がとー」。
いえいえ、こちらのほうこそ「愛がとー」です。
お店情報
住所:東京都新宿区歌舞伎町1-12-9 ピアザタテハナビル地下1階
電話:03-3232-1234
営業時間:月曜日〜金曜日 18:00~24:00、土曜日・日曜日・祝日 16:50〜24:00
定休日:無休
【閉店】宮崎料理 銀座 みやこんじょ
住所:東京都中央区銀座5-4-5 与板屋ビル4階
電話:03-6274-6960
営業時間:月曜日〜金曜日 18:00~24:00、土曜日・日曜日・祝日 16:50〜24:00
定休日:無休
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