北海道を拠点に食べ歩き、メシ通レポーターの裸電球です。
今日は私の愛してやまない、北のソウルフードを徹底的にご紹介します!
お酒との相性たるや、恐ろしいレベルです。
北海道民のDNAレベルまで刷り込まれた、伝統の味!
その名も「にしん漬」。
北海道と共に歩む漬物
北海道では各家庭で作る冬の大定番で、
スーパーでも、当たり前に売っている、
とってもポピュラーな漬物なのです。
しかし、北海道から一歩出ると……。
あれ? ウソでしょ?
なんでこんなに知らない人が多いの!
ぜひ北海道以外の方にもこの味を楽しんでいただきたい……。
そこで、今回は「にしん漬け」の魅力に迫ります。
さらに「にしん漬け」のプロ、田中青果から
ななななんと、
作り方を教えてもらいました!
「買う派」も「作る派」も必見ですよ!
ANAのファーストクラスで提供される実力
「にしん漬け」は取扱いの都合上、難しいものの、
田中青果の漬物は、
ANAのファーストクラス・ビジネスクラスの機内食で
2018年3月~5月の間、提供されるという実力!
すごいでしょ?
そんなお店に「レシピ教えて」って言った私、誰か褒めて。
ものすごく広いこの大地。
「北海道」と名前が付けられてから、今年で150年という節目を迎えました。
その歴史は、「にしん漬け」と歩んだといっても過言ではありません。
各家庭で守ってきた味があり、思い出があり……。
「おばあちゃんの作った『にしん漬け』が日本一」
北海道民が集まると、
自分ちのにしん漬け自慢が止まりません。
さて、「にしん漬け」のプロフェッショナルを訪ねて。
やってきました、札幌から150キロほど、海沿いのマチ・留萌(るもい)市!
留萌市はかつてにしん漁で栄えたマチ。
おいしいにしんが手に入るということは……。
おいしい「にしん漬け」に出合えるということ!
しかも今回お邪魔するお店は、
もともと青果店なので、漬物に欠かせない野菜まで最高のもの!
条件はそろいました。
留萌市の田中青果で聞いてみた
おお!
お店の外観にもしっかり刻まれた「にしんづけ」の文字。
田中青果の作る「にしん漬け」は、
味にうるさい北海道民にも熱烈なファンの多いお店です。
広い北海道、なかなか留萌市まで来れない人は、
デパートなどで開催される催事を心待ちにしているんだとか。
これは期待が高まります。
▲やん衆にしん漬け 1kg 1,600円
神々しく見えますね。
袋にどさっと1キロ入った感じも、実に北海道らしい!
みなさん、これを買って、晩酌するんですよ。
「にしん漬け」がある日は、残業している場合ではありません。
私なんか、16時からソワソワが始まります。
これが田中青果の「にしん漬け」だ!
「にしん漬け」に使う材料をざっくりとご紹介。
- 身欠きにしん
- キャベツ
- 大根
- ニンジン
これらを塩にザラメ、米麹や鷹の爪と漬けるのです。
身欠きにしんのうま味と野菜のシャキシャキが、
目の前のお酒を蒸発させます。
飲んでも、飲んでも、止まりません。
(本当にこの感覚、体験してほしい w)
教えて……くれないですよね?
田中 美智子さんです。
田中青果に嫁ぎ、血のにじむような研究の末、最高の「にしん漬け」を誕生させました。
その開発期間、なんと15年ですって。
そんな方に、これからする質問は。
まさに愚の骨頂!
ええっと……。
いや、ダメ元なんで、聞き流してくださいね。
「『にしん漬け』の作り方教えてください」
「もちろん!」と笑顔の田中さん。
うそでしょ?
え? え?
ホントに良いんですか?
聞いてみるもんだ!
「食べる文化」を後世に残したい
作り方を教えてくれた田中さん。
そこには、深い思いがありました。
じつは、この「にしん漬け」。
存続の危機なんです。
住宅環境や家族構成の変化から、
「にしん漬け」を作る家庭が激減。
親が食べないと、子は食べなくなり、
こんなにおいしい漬物を「食べる文化」がなくなってしまうのです。
そこで田中さんは、自らのお店で販売するだけでなく、
「にしん漬け」を守るために、おいしさを伝えるために、
プロの技を教えてくれるというわけです。
もう、私、
留萌に足を向けては寝られません。
「にしん漬け」の作り方大公開!
それではイメージが膨らみやすいよう、
田中青果の漬物工場にお邪魔させていただき、
その写真を見ながら紹介させていただきますね。
【にしん漬け 約10キロ分】
もう一度言います、約10キロ分です!!
【材料】
- キャベツ 7kg
- 大根(干したものか塩漬けしたもの) 3kg
- ニンジン 1~2本
- 身欠きにしん(本乾) 500g
- 塩、ザラメ、米麹 各260g(野菜の総分量に対して2.6%)
- 鷹の爪 適量
①キャベツは「寒玉」を大き目にザクザク切るべし!
ポイントは寒玉キャベツ(冬キャベツ)を使うこと。
これだけでも味わいが全然違います。
大きめにざく切りにして、水を通すように洗うといいそうです。
②大根は干すか、塩漬けしたものを使うべし!
干したほうが甘みが増すんですって。
干せない場合は塩漬けにして、水分が抜けたものを乱切りにしてください。
田中青果では、それぞれの材料を事前に漬けるそうです。
本漬けする前にそんな工程があったとは。
おいしさのヒミツですね。
③本乾の身欠きにしんを「米のとぎ汁」で戻すべし!
本乾とは、字の通り、完全に乾いたカチカチのにしんのこと。
乾燥がしっかりされていないものを使うと、生臭くなってしまうので要注意!
うろこはなんと、「荒め」に取り除くのが良いそうです。
少し残っているくらいがベストなんて、奥が深い。
さらに、「米のとぎ汁」で1~2日戻すのもポイント!
北海道の人でも水で戻している家庭が多いようです。
米ぬかでにしんを戻すことで、「発酵のスターター」になるんですって。
プロの技を盗んじゃいましょう。
④仕込み分量は食材の2.6~3%
塩、米麹、ザラメをそれぞれ、この分量用意する!
これが黄金比なんですって。
いや~、すごいこと聞けたんじゃないですか?
⑤重さを変えて漬けるべし!
たるにキャベツ、大根、にしん、千切りにしたニンジン、刻んだ鷹の爪、調味料の順で詰めます。
「層」にしていくんですね。
たる、お持ちですよね?
15kgの重しで漬けはじめ、
10日ほど経ったところで、10kgに。
さらに10日ほど経ったところで5kgに。
そのまま保存!
日数に合わせて調整することがポイントです。
約3週間ほどで食べられるようになります。
⑥水は絶対に捨てるべからず!
漬けていくと、このように水分が出てきます。
これを「捨てる人」がいるんですって。
それは絶対にやってはいけないNG行為!
たるから流れ出る分は、そのままに。
ヒタヒタの状態でも全く問題ありません。
むしろこの水分は、
食材を悪い菌から守ってくれているそうです。
⑦かき混ぜるなかれ!
ようやく完成しても、ここで台無しにしてしまう人が!
底からかき混ぜると、手の温度が伝わり、発酵が進んでしまいます。
気になって手で混ぜてしまう人、多いんですって。
せっかく「層」になっているので、上から順に。
食べる分だけを少しずつ混ぜるのがポイントです。
最高の「にしん漬け」を召し上がれ
田中青果の亡くなったおばあちゃんが、
「にしん漬けの名人」と呼ばれていたそう。
お店が目指したのはその味。
しかし、残されたレシピは、
「塩を手のひらで何杯」など、完全な目分量。
何年も何年もかけて、全国に流通できるほどに育てたのが、
田中 美智子さんなのです。
正直、ここの「にしん漬け」を食べると、
「自分でこんなの作れない」と思ってしまいます。
(作り方を紹介しておいてなのですが……)
皆さんも「にしん漬け」のとりこになって!
ホント、驚きますから、「にしん漬け」のおいしさ。
どうですか? 食べたくなってきたんじゃないですか?
日本酒、焼酎、ビール。
何でもガッツリ合いますよ?
ということで。
みなさん、次のシーズンはおいしい「にしん漬け」、作っちゃってください。
そして、田中青果の漬物を是非!
お取り寄せ、可能です!
お店情報
丸夕 田中青果
住所:北海道留萌市栄町2丁目3-21
電話番号:0164-42-0858
営業時間:10:00~18:00
定休日:不定休
ウェブサイト:http://www.yanshu-tanaka.co.jp/