
こんにちは! 料理家の真野遥です。
突然ですが、みなさんのご自宅には、飲みきれないまま持て余している日本酒がありませんか? 私はたくさんあります。
いただいたものの味が好みじゃなかったり、古くなって風味が変わってしまったり、飲みかけの日本酒があるのについつい新しいお酒を買ってしまったり……。そんな経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
今回は、そんな"日本酒持て余し勢"にぜひとも作っていただきたい、日本酒をたっぷり使う鍋料理をご紹介いたします!
日本酒大量消費レシピ! 広島の郷土料理「美酒鍋」

日本酒をたっぷり使って肉や野菜を炒め煮にする、日本酒の銘醸地である広島ならではの鍋料理です。
元々は酒蔵のまかない料理として生まれたそうで、水仕事で毎日びしょびしょになる蔵人さんが調理を担当することから「びしょ鍋」と呼ばれるようになり、現在はそれをもじって「美酒鍋」と言われることが多くなりました(今回も「美酒鍋」と表記しております)。
美酒鍋は非常にシンプルな料理で、味付けは日本酒と塩、こしょうのみ。
日本酒にはうま味成分であるアミノ酸が豊富に含まれており、肉や野菜のうま味と相まって、それだけで十分おいしいお鍋に仕上がるのです。
お酒が苦手という方も、加熱することでアルコール分はほとんど飛ぶのでご安心を。
※ただし、微量のアルコール分は残る可能性があるので、アレルギーをお持ちの方や妊婦さん、車などの運転を予定している方はご注意ください。
料理に適した日本酒の特徴を押さえておこう

使う日本酒は基本的にどんなものでもOK!
……と言いたいところですが、以下のようなお酒は料理の味に影響するので避けるのが賢明です。
・常温で長く置き、茶色っぽくなるまで熟成したもの(紹興酒のような香りがあるもの)
・味や香りが極端に個性的なもの(甘味の強い貴醸酒や、香りがフルーティー過ぎるものなど)
・にごり酒やどぶろく
・そのままでは飲めないほど風味が劣化したもの
このようなお酒は避けて、あくまでも普通に飲める、澱(おり)のない清酒を使うのが基本になります。
その上で、できればお米由来のうま味成分の多い日本酒が、美酒鍋に限らず料理酒に適しています。
例えば、お米をたくさん磨いて造られた「吟醸酒」や「大吟醸酒」よりも、あまり磨いていない「純米酒」(「特別純米」と書いてあるものでもOK!)の方がおいしく仕上がります。
また、醸造用アルコールが添加された「本醸造」や「吟醸酒」、「大吟醸酒」よりも、添加されていない「純米酒」の方がおすすめです。
つまり、料理酒におすすめなのは、お米だけで造られた純米酒です。

純米酒は「料理酒にするのはもったいない!」という声が聞こえてきそうなぐらい、そのまま飲んでもおいしい日本酒なのですが、うま味がたっぷりで、料理酒としても最適なのです。
広島県の郷土料理「美酒鍋」の作り方
それでは、美酒鍋の作り方をご紹介いたします!

材料(3〜4人分)
- 鶏もも肉(一口大) 200g〜300g程度
- 砂肝 あれば150g程度
- 鶏レバー あれば150g程度
- 白菜 1/4個
- にんじん 1/2本
- 長ねぎ 1/2本
- しいたけ 4個
- えのき 1/2袋
- ピーマン 2〜3個
- 厚揚げ 2個
- こんにゃく あれば100g
- もやし 1パック
- にんにく 2かけ
- 食用油 大さじ2
- 塩、こしょう 適量
- 日本酒 2合(360ml)程度
<材料についての補足>
・肉類は鶏もも肉だけでもOK。鶏レバーや砂肝はお好みで。豚肉を入れてもおいしいです。
・野菜もお好みのものでOK。白菜はキャベツにしてもいいですし、きのこ類もお好みのもので大丈夫です。
・厚揚げはぜひとも入れていただきたいですが、こんにゃくは入れても入れなくてもOKです。
・食用油は、サラダ油や菜種油などなんでも大丈夫です。オリーブオイルやごま油でもおいしいですよ。
作り方

1.まずは鶏レバーの下処理をします。脂はできるだけ取り除き、食べやすい大きさに切りましょう。

水(分量外)を張ったボウルに入れて血の塊を取り除きます。

次に、3%濃度の塩水(分量外)に30分ほど浸して血抜きします。冬場は常温で大丈夫ですが、夏場は冷蔵庫に入れてください。血抜きが済んだらザルにあげておきましょう。


砂肝は半分に切って、青白いスジの部分はそぎ落としたら、厚みを半分に切ります。

2.こんにゃくは短冊切りにし、沸騰したお湯(分量外)で2〜3分茹でたらザルにあげます。

野菜などの具材は食べやすいサイズに切りましょう。
白菜はざく切りにし、軸と葉を分けておきます。にんじんは火が通りにくいので、薄めの短冊切りか、いちょう切りにするといいでしょう。長ねぎは斜め薄切りに、ピーマンは細切りに、きのこ類は食べやすい大きさにします。
厚揚げは1cm幅に切り、にんにくは薄切りにします。もやしは洗っておきましょう。
具材の準備ができたら、いよいよ調理開始です!
※2回に分けて作るので、具材は半分ずつ使います。

3.鍋に大さじ1の食用油とにんにく半量を入れて中火で炒めます。

にんにくの香りが立ったら、鶏もも肉と砂肝を半量ずつ加えて炒めます。
(鶏レバーは煮ると硬くなるので最後に加えます。)

強めに塩、こしょうをふり(塩2〜3つまみ程度のイメージ)、さっと炒めて肉の色が変わってきたら、日本酒を1合分加えます。

4.火が通りにくい野菜から入れていきましょう。
まずはにんじん、白菜の軸、しいたけ。

その上に、こんにゃく、厚揚げ、長ねぎ、えのきを重ねます。

白菜の葉、ピーマン、もやしを重ねたら、塩を2つまみほど振りかけ、火を少し弱めてそのまま蓋をせずにぐつぐつ煮ていきます。
「これで火が通るの!?」と思われるかもしれませんが、先に入れた日本酒に加えて野菜からも水分が出てくるため、じっくりと火が入り、少しずつカサが減っていきます。

5. 6〜7分ほど煮て野菜にあらかた火が通ったら、鶏レバーを加えます。

全体をさっと混ぜ、鶏レバーに火が通ったら完成です!
味を見て、薄かったら塩、こしょうを追加してください。

野菜はシャキッとした食感で仕上げるのが美味。
弱火にかけたまま食べ進め、後半くたっとした食感を楽しむのもまた一興です。

汁気は少なめですが、日本酒やお肉、野菜から出たお出汁が絶品!
日本酒でじっくり蒸し焼きにした野菜は驚くほど甘く、日本酒のふんわりとした心地よい香りに心も体も癒されます。
お好みで柚子こしょうを溶いたり、ごま油を加えたりしてコクと香りをプラスするのもおすすめです。美酒鍋をつまみに日本酒を飲むのも至福ですね。
1回目を食べ終えたら、同様の工程で2回目も楽しみましょう。あんなにどっさりあった野菜が一瞬でおなかの中に消えてしまいますよ。
〆は焼きうどんで決まり!
そして、お鍋と言えば〆ですよね!
美酒鍋は一般的な鍋料理と比べて水分が少ないため、雑炊には適しません。
そこでおすすめなのが、焼きうどん。
材料(2人分)
- 残った美酒鍋 適量
- 茹でうどん(2玉)
- ごま油 適量
- 醤油 適量
- 鰹節 適量

野菜と汁気が適度に残った美酒鍋に、茹でうどんとごま油を加えてさっと炒め、醤油と鰹節で味付けするだけで、至高の焼きうどんが完成!
日本酒、お肉、野菜の旨味をたっぷり吸った焼きうどんは、とっても優しく滋味深い味わい。
こってり味がお好きな方は、お好みでバターを加えてもいいですね……。

日本酒をたっぷり使えて〆まで楽しめる美酒鍋、ぜひお試しください!
書いた人:真野遥

商社勤務を経て料理家として独立。 東京と京都を拠点にレシピ開発、メディア出演、発酵食と日本酒のペアリング料理教室の主宰など幅広く活動中。2022年からは「発酵室 よはく」として、発酵を通じて人生に余白を作る活動をスタート。Podcastラジオ「よはく採集」を毎週火曜日に配信中。 著書『手軽においしく発酵食のレシピ』(成美堂出版)、『いつものお酒を100倍おいしくする最強おつまみ事典』(西東社)


