【姫乃たま】サブカル好きが集う東中野「BAR バレンタイン」でナゼかモテを学ぶ【今夜もヒミツ酒:8軒目】

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誰にでも秘密はあります。たとえば、故郷などないような顔をしている酒場の人たちにも、きっと。おいしいごはんとお酒に緩んだ、その口元から溢れる、あなたの秘密を教えてくれませんか。

 

扉を開けると、上下左右にサブカルワールドが

中央線の列車を降りて東口に出ると、駐車場におじさんがぽつりと立っていて、暗がりで少しだけ揺れながらひとり佇んでいて、ああ、東中野に着いたあと思いました。

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今夜訪れる「BAR バレンタイン」は、

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東中野駅から徒歩16秒(くらい)。

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昭和風の雑居ビルを3階まで上ります。扉を開けるとそこには……。

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映画、プロレス関連のグッズが天地左右ところ狭しと並んでいて、むせかえるようなサブカル空間!

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今夜も「BAR バレンタイン」の客席では、イベントが3つくらい企画できそうな豪華メンバーが気楽に飲んでいます。ライターや、編集者、女優さんや……。顔見知りじゃない人同士も、プロレスや映画など共通の話題で盛り上がって、あっという間に意気投合しています。

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しかしこのお店、客席も濃いですが、バーカウンターに立つ店員さんも濃い!

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写真左からラブオさん、雅さん、マスターのMUNEさん。なお、それぞれ手に持っているのはもちろんダミーですよ。店内で使用されることはありません!

姫乃たま(以下、たま):しかしラブオさん、おっきいですね~。

ラブオ:105キロあります。

たま:かっこいい!

MUNEさん:ラブオ君は学生プロレスしてて、いまは卒業してプロレスラー志望。そういえばこの間、めちゃくちゃデカい外国の人来たよ! 背中とお腹が同じくらい出てて、みんな触りたーいって、このお店ではモテまくってた!

たま:球体……いいですね~。

 

ここの店長であるMUNEさんは知る人ぞ知るTシャツブランド「ハードコアチョコレート(略してコアチョコ)」の代表兼デザイナー。

 

シンプルだけど奥深い官能小説の世界

今夜、お話をうかがうのは作家の大泉りかさん。女性向けのエッセーから男性向けの官能小説まで、幅広く執筆活動をされている大先輩です。つい最近、新刊『女子会で教わる人生を変える恋愛講座』(大和書房)を発表されたばかり。

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お互い結構な酒飲み。午前中は起きられないという点も私と同じです

りかさんの書いたモテ本『もっとモテたいあなたに 女はこんな男に惚れる』(文庫ぎんが堂/イースト・プレス)、話題ですけど、どうしてモテ本を書こうと思ったんですか?

 

この店に来ている人にモテて欲しくて……。


えっ?

 

いや、もともとは創作の文章が書きたくて、ずっと書き溜めてて、26歳くらいの時に飲み会で会った編集者に読んでもらったら、「出せるかどうかわかんないけど枚数足りないから書き足してみる?」って聞かれたんです。それを書き直して出版したのがデビュー作。若い女子にありがちな、自分の経験を元に書いた小説だったんだけど、たまちゃんが地下アイドルに関する本を出したのと同じ感じかな?

 

そうですね、私も本を出版してますけど、飲み会で持ち込んでデビューって初めて聞きました!

その後は、ケータイ小説で殺し屋とうっかり殺人を犯しちゃった女の子のサスペンスを書いたり……。当時はメルマガで配信されてたんだけど、今思い出すと、時代を感じるね! で、それを読んでくれた知り合いの編集者が、ラノベの部署に異動した時に「書いてみる?」って誘われて、お色気ドタバタコメディーを書いたりしていたら、そのうち官能小説の雑誌から声がかかって。

 

官能小説って書いたことないですけど、いろいろと難しそうですよね。

官能小説って構造はすごくシンプルで「オトコとオンナがいて、会って、交わる」ってだけなんですよ、極端に言えば。肝心のシーンも「この後どうしよう……むしろ、こういうことがされたい」って妄想するわけだから、楽しいは楽しいんだけど、その前段階での出会い方を考えるのが大変かも。たとえばこういうバーの店主で、奥さんがいて、バイトの女の子から誘われて、お客さんとして来たアイドル に誘われて……みたいなのを考えるわけだけど、そこにリアリティを出すのが難しいんですよね。だってそんな都合のいいシチュエーションなんてないし(笑)。ほかにも出版社によっては、10ページに一度は結ばれてくださいとか、女の子が複数人出てこないといけないとか、縛りがある時もあります。

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モテ本の執筆動機は「趣味人にモテて欲しかった」

ほかの女流作家の方ってどういう作品を書いてるんですか?

 

女性の情念を書く人もいるし、飛行機の元客室乗務員の人で、そっち系ばっかり書いてる人もいる。


私もそうですけど、女性は実体験を元にして書く人が多いんですね。

そうだねー。妄想を書くのは男性が多いかも。

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ちなみに書きたくない時とかないんですか。

あるあるある! 章が書き終わった時に作業を止めるとキリが良すぎて、次に書き出すタイミングがなかなかつかめなくて。章を書き終えたら、次の章を3行でもいいから書くようにしてる。

 

そういえば、中学の時に数学の先生が、応用問題で終わりにしないで、基礎問題を少し解いたところで止めましょうって言ってました!

 

小説は男性の都合が良いように書くんですか?

 

まあ、そうなんだけど、読んだ男性のためになるように「○○してもらったから、好きになっちゃった」とか、女性が喜ぶポイントをあえてヒロインに言わせるようにしてます。「オンナの気持ちに気づけ~」って念じながら。


少しモテ本に通ずるところがありますね!

 

モテ本は読者のターゲットを決めるのが難しくて、モテる人がもっとモテるための本と、本気で結婚したい独身の人が読む本は違うじゃない?


はー、難しいですね。どうやって決めてるんですか?

ターゲットはこのお店で飲んでるような人たちかな(笑)。映画とかプロレスとかが好きな趣味人で、独身で、Tシャツの柄でおしゃれしてる人たち。


あー、トップスの形とかじゃなくて、Tシャツの柄がおしゃれのすべてという感じの。私はすっごく好感持てますけどね。

 

「クエ食べよう」なら誘ってもOK

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もしかして、『メシ通』はモテに使えるんじゃないかなあと思うのですが。

ライターさんが書いてくれたうんちくを女の子に紹介できるのはいいよね。ラーメン店に連れて行かれても、ここのラーメンのどこがおいしいとか特徴を教えてもらえたら楽しい。

 

ああ、いいですね! しかも『メシ通』の内容なら、しつこくなくて丁度いい。

ちなみに私は焼き肉みたいに共同作業できて、一緒にわいわいできる飲食店デートを推奨しています!


そういえば、飲み会で山羊の肉を食べた時は無差別に恋心が芽生えそうになりましたね。山羊のあまりの臭いに吊り橋効果が……。

そうそう、そういうの楽しいよね! あんまり食べたことないものを食べに行くのもいい。トルコのお酒とかね。水を入れると白くなったりするし。

 

えー、それは行ってみたい! 相手がどういうリアクションをとる人なのか知ることができるのもうれしい。

あと若い子だと、そんなに高くないお寿司屋さんでも、カウンター座っただけで「初めてなんです」って喜んでくれたりするよ。刺身からちゃんと食べると高くなるので、盛り合わせを頼んでから、好きなものを頼むのがおすすめ。旬なものを食べに行くのもいいよね。


んー、たとえば……芽キャベツ!

芽キャベツ(笑)!

 

小さーい! でも中はキャベツ! ってなります。

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そういえば、私クエって食べたことないの。

 

あー、「クエ食べに行こう」って誘われたら行っちゃいますね!

そんなに好きじゃない人から飲みに行こうって誘われても困っちゃうけど……。

 

「クエ食べに行こうよ」だったら行きますね!

クエってひとりで食べるのもあれだし、女ふたりで食べるのも何だかなーってなるしね。


おしゃれで高級な料理だともう「おいしい」って言うしかないので、その点でクエとかトルコのお酒とかは冒険してる感じがあっていいですよね。

値段が高そうな料理は相手の男性に対して、変なプレッシャーもあるしね(笑)。私の場合、シェアして食べるのが好きだから、おしゃれなお店に入ったら、お皿は全部デカイくせに、肝心の料理が小っさくて気まずい思いしたこともある。

 

わはは!!

 

「美味しくなかったネタ」でむしろ盛り上がりたい

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ところで、りかさんてモテには昔から関心があったんですか?

そうですね。モテって一言でいっても、どうモテたいのかって人に寄って様々なんですよね。「彼女・彼氏が欲しい」「結婚したい」「たくさんの人に言い寄られて、その中から一番いい人を選びたい」「とにかく異性にチヤホヤされたい」「不特定多数と身体の関係を結びたい」……。それぞれ望むものが違う。

わたしは、サブカル趣味の男子、趣味人が好きなんですが、あんまり女性に対しては至らないというか女心を知らないというか、勘違いしている人が多い……。それでいて「俺たちなんてモテない」っていって卑下しすぎている。「そうじゃないよ!」って思ったのが、関心を持ったきっかけかな。彼氏が欲しいっていう女のコに「どういう人がいい?」っていうとだいたい「普通でいいです」って言う、その女の言う“普通”を解説してます。


趣味があると、なかなかデートに使う予算の配分に至らないっていいますよね……。

そういう人たちがモテ本の知識でモテるようになったらいいなって思う。新宿は昼も夜も混んでるから、お店は予約した方がいいよとか。そういう、ちょっとしたことって大事だから。


あ、そんな初歩的なことから教えてくれるんですね。

お酒飲めない男性でも、お冷やじゃなくて、お茶でもいいから頼んでくれたら、女の子もビール頼みやすいよ、とか……。


わはは、細かいですけどそうですね! 炭酸水とかもアルコール感あっていいですよね。

あとは、大して美味しくないお店に当たってもいいから、どこにでもありそうな個性のないお店っていうよりも、特徴のあるお店に連れて行ってほしいかな……。


そうですね。「あそこ、まずかったねー」って話で一緒に盛り上がりたいです。うーん、雑誌に載っている恋愛マニュアルを遵守するよりも、もっと気軽に身の回りの知っているものを紹介して欲しいかもしれません。知らない場所とか話って面白いから。あと理想を言えば、そば店で昼酒飲んだり、古本店へ行ったりとか……。

昼酒、贅沢でいいよねー!


なんというか、バレンタインに来るような女性同士で話すのも、なんか変な感じですが……(笑)。

 
今夜もまだ飲むぞという、みんなの気概を感じつつ帰宅。

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帰りの電車で「BAR バレンタイン」の窓が見えることに気づきました。こんなに濃厚なバーが電車から見えてしまっていいものか、少しだけドキッとしました。

 

でも、その感じが好きなんですよね。

 

今夜の一品

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ちょっと贅沢な「袋ラーメン」(450円)。お仕事終わりが遅い人も、ふらっと来て、気軽に腹ごしらえできます。袋麺や缶詰が好きなお客さんが多いのも「BAR バレンタイン」の特徴(?)

 

※記事内の表示価格はすべて税込みです。

 

今夜のお店

BARバレンタイン

住所:東京都中野区東中野4-2-1 帆刈ビル3F
電話番号:03-5330-8336
営業時間:火曜日~土曜日 20:00~翌2:00/日曜日 20:00~24:00
定休日:月曜日
ウェブサイト:http://bar-valentine.jugem.jp/

 

書いた人:姫乃たま

姫乃たま

1993年2月12日、下北沢生まれ、エロ本育ち。16才よりフリーランスで地下アイドル活動を始め、ライブイベントへの出演を軸足に置きながら、文筆業も営む。そのほか司会、DJとしても活動。フルアルバムに『僕とジョルジュ』があり、著書に『潜行~地下アイドルの人に言えない生活』(サイゾー社)があ る。

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