【舌対音感】第10回:サイトウ "JxJx" ジュン(YOUR SONG IS GOOD)「俺が恋したハワイアンフードたち」

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「旅をしない音楽家は不幸だ」という言葉を残したのはモーツァルトだが、では、旅する音楽家の中でもっとも幸せなのは? それはやはり、その土地土地ならではの旨いものを味わい尽くしている音楽家ではないだろうか。

そこで! ライブやツアーで各地を巡るミュージシャンたちに、オススメのローカルフードや、自分の足で見つけた美味しい店をうかがっていこうという連載企画。

今回は、YOUR SONG IS GOODのバンマスにしてオルガン担当のサイトウ“JxJx”ジュンさんが登場。8年ほど前に初めてハワイに訪れて以来、その魅力にずっぽりハマってしまったというJxJx(ジェイジェイ)さん。年に1回は足を運ぶハワイの、とくにオアフ島のオススメをたっぷり語ってもらいました。

 

話す人:サイトウ "JxJx" ジュン

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2018年で結成20周年を迎えるインストバンド「YOUR SONG IS GOOD」のフロントマンであり、オルガンプレイヤー。バンドだけでなく個人としてもDJやMCとしても活躍している。YSIGの最新リリースは、ハワイをベースに活動するALOHA GOT SOULとの共作となる12インチ『Coast to Coast EP』(4/25発売、レーベル:KAKUBARHYTHM / ALOHA GOT SOUL)

 

ハワイの“ニオイ”に魅了され……

── そもそもJxJxさんがハワイにハマったきっかけは?

 

サイトウ“JxJx”ジュン(以下JxJx):2010年に新婚旅行で訪れたのがきっかけです。 僕はハワイって、そこから醸し出される世界観みたいなものには興味があったんですけど、自分が実際に行くってことはイメージはしてなかったんですよね。たとえばマーティン・デニー※のエキゾの感じとかはもともと好きだったけど、自ら足を運ぶような場所ではないよなって思ってました。

※戦後、欧米の白人がイメージする「エキゾティックな南国の楽園」を音楽で表現して一世を風靡したアメリカ人アーティスト。細野晴臣や星野源などにも多大な影響を与えた。

 

── たしかに若い頃は、もっとディープな場所に興味が向きがちですしね。

 

JxJx:ですね。でも奥さんが行こうって言うので、乗っかってみたら……もう 空港についた時点でハマってたと(笑)。

 

── そんないきなりハマることってあります?(笑)

 

JxJx:ですよね(笑)。今、冷静に判断すると、きっかけは「ニオイ」ですかね。空港の外に出た時に、めちゃくちゃいいニオイがするんですよ。たぶん現地の花とかじゃないかなって、勝手に想像しているんですけど。とにかく、そのニオイに心をつかまれましたね。日本に帰ってからも、「めちゃめちゃよかったなぁ」ってずっと思い出してて。それで、辛抱たまらず3カ月後にまた行ってしまったという。

 

── おかわりハワイ、早すぎです(笑)。

 

JxJx:二度目以降は奥さんと一緒にいろいろお店を調べるのが楽しくなって、さらに攻めていくようになったんですよね。

 

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衝撃受けた「フローズン冷麺」

── そこからハワイに頻繁に行かれるようになって。とくにオアフ島がお気に入りだとうかがいましたが。

 

JxJx:オアフ専門家です。って、カッコいいんだか悪いんだかわかんないですけど、でも大好きです(笑)。僕がハワイを面白いなと思ったのは、ミックス・カルチャーなところ。日系の方もいるし、中国や韓国、ベトナム、フィリピン、もちろんハワイアンの方々がいて。さらにアメリカ本土から来た人たち。そんな感じで、いろんな人たちが持ち寄った文化が混ざり合っちゃってる状態が面白いなって思ったんです。

 

── そんな中でJxJxさんが気に入ったハワイ料理は?

 

JxJx:〈ユッチャン・コリアン・レストラン〉っていうコリアン・バーベキューのお店。ここの冷麺が衝撃的で。この冷麺って〈フローズン冷麺〉 なんですよ。凍った出汁が半分溶けてる状態で出てくる。まぁ説明だけ聞くと、かなりトリッキーな感じじゃな いですか? どんな味がくるんだろうって構えて待ってたら、これがストレートに美味しい冷麺だったんですよ。

 

── へぇ~!

 

JxJx:それを南国の太陽がさんさんと照りつける昼間に食べるのが、なんとも美味しい。ある意味、この土地で生まれるべくして生まれた、理にかなったメニューだなって思いました。

 

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── たしかに韓国は寒いし、そもそも元から冷たいはずの冷麺をあえて凍らせる必要ないですもんね(笑)。

 

JxJx:そうそう! その、より冷たくするっていうところに、ドラマを感じるじゃないですか。南国のハワイならではのメニューだなって思いましたね。

 

── しかし、いわゆるハワイのイメージから、冷麺ってなかなか出てこないですよね。

 

JxJx:僕も最初はそう思ってました。ハンバーガーとか、そういうアメリカン・ダイナー的な食べ物ばっかりなのかなって。そしたら全然違って、かなりバラエティーに富んでるんだなって気づいて。

 

── いろんな地域の文化が混ざり合って、別の形に進化した新しい何かが生まれる。

 

JxJx:そして、それがめちゃくちゃキャッチーな仕上がりをしている。ここがポイントかもしれないですね。訳わからない感じのまま放っておかれるというよりは、すごくいい感じに仕上がってるっていうか。そんな気がしましたけどね。

 

「マラサダ」は出来立てに限る

── 他にそういうミクスチャーっぽさを感じる食べ物ってありますか?

 

JxJx:それこそ〈マラサダ〉っていう「ドーナツ」がそうですけど、これなんかもポルトガルから来た食べ物で。ちなみにハワイの音楽でよく使われるウクレレとかもポルトガルから来てて。同じような流れでもってたどり着いたんだなって思うと面白いですよね。

 

── マラサダでオススメのお店は?

 

JxJx:いろんなお店があるんですけど、最初に食べたのは超有名な〈レナーズ・マラサダ〉 。やっぱり美味しいんですよね。あと個人的に好きなのはカリヒにある〈カメハメハ ベーカリー〉。この間まで原宿に出店してたけどなくなっちゃって、とにかく紫芋で作ったもっちりしたマラサダが最高に美味しいです。

 

── 食べ応えありそうですよね。

 

JxJx:マラサダを美味しくたべるには、とにかく出来立てを食べる! これに尽きます。たとえばお店まで車で行って、出来たてを買うじゃないですか? そしたらもうお店の駐車場でパッと食べちゃう(笑)。ホテルとかに持ち帰ってる場合じゃないです。車の中でムシャムシャ食べて、「よし次行こう!」って出発する。いろいろやりましたが、これがベストですね。

 

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── スイーツ系で他に美味しいのは?

 

JxJx:ノースショアに〈テッズ・ベーカリー〉っていう有名なお店があって。そこの〈ハウピアクリームチョコレートパイ〉 っていう、パイが有名なんですけど、これも独特の美味しさ。ワイキキとかのスーパーでも買えるのですが、実店舗が最高で。ここは地元のサーファーの子たちが出入りしてる感じのお店で、今はリニューアルされたみたいなんですけど、僕が初めて行った時はギリギリ昔の状態だったみたいで。

 

── 古くて風情がありそうですよね。

 

JxJx:そうなんですよ。お店の前にベンチがあってパラソルが立ってて、お店で買った三角パックに個装されたケーキをそこに座って食べる。で、パッケージのシールをはがして食べるんですけど、目の前のパラソルの竿の部分を見たら、みんながそのシールをベタベタ貼ってるんですよ。なんかわからないけど、その謎のローカルノリみたいなのがすごくいいなって思いましたね。もちろん自分も貼りました(笑)。でも、そういうのって行かないとわからないじゃないですか。ここで食べて、シールを貼って帰ってる。意味があるのかないのかわからないけど、すごい臨場感があって。そりゃもう、味も変わりますよね(笑)。

 

── 確かにそれは旅してみないと味わえない臨場感ですよね。実際、〈テッズベーカリー〉のケーキはどんな味なんですか?

 

JxJx:見た目はいわゆるアメリカのケーキ! って感じでめちゃくちゃ甘そう。なんだけど、ハウピアってココナッツのことなんですけど、それとチョコレートの組み合わせが絶妙な甘さを生み出してるんですよ。あとは、リリコイチーズパイってのもあって、クリームチーズとリリコイってパッションフルーツなんですけど、それも甘さと酸味の感じが絶妙で、僕はサーフィンしないから想像なんですけど、きっとサーファーの人が海から上がってきて、すごく疲れた状態で食べる時、この甘さはめちゃめちゃ美味いんじゃないかなって。そんなことを考えながら食べるのも楽しいですね。

 

ハワイは朝ごはんが大事

──スイーツが続いたので、そろそろ料理系も食べたくなりました。

 

JxJx:僕が好きなのは〈ジッピーズ〉っていうハワイローカルのファミレスですね。ここは〈チリ(チリビーンズ)〉が美味しくて。パンチもあるけど、やさしいっていう、本当にちょうどいい感じなんですよね。日常使いできる感じっていうか。ローカルの人たちにも評判で、テイクアウト、いわゆる“TO GO”ってヤツですね。その持ち帰りが出来上がるとカウンターに呼ばれるので、それをローカルの人に混じってジーっと待ってるのが、楽しい。で、チリを頼むとクラッカーがついてくるんですよ。これをビーチに持って行って、ベンチに座って夕日を眺めながらチリを食べる……これ、最高です!(笑)。

 

── たしかに気持ちよさそう!

 

JxJx:カパフル通りっていう飲食店が並ぶ通りにジッピーズの支店がありまして。そこで買って、ダイアモンドヘッドの脇にあるカピオラニ公園の駐車場に車を停めて。目の前にあるカイマナビーチっていうのが、夕陽の絶景スポットなんですよ。ワイキキに比べると絶妙に人も少なくて。で、ビーチのベンチに座って、おもむろにチリを開けると。

 

── ハワイじゃなきゃたぶんそれは出来ない……。

 

JxJx:で、クラッカーの銘柄をよく見ると〈ダイアモンドヘッド・クラッカー〉って書いてある。どう思います、この感じ?(笑)。ダイアモンドヘッドのグラフィックがプリントされてて、後ろ振り返ると本物がある! そんなシチュエーションでチリをパクパク食べるという。だんだんと、チリが夕陽に染まっていく感じ、これがちょっとした個人的なサンセットの楽しみで。

 

── まわりにはそんなことをしてる人はいない?

 

JxJx:いないです(笑)。いまのところ、まだそこでは見てないです。何回もいいますけど、至福の時間。

 

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── ちなみに夕飯はどんなところで食べるんですか?

 

JxJx:個人的にはハワイは朝ごはんが重要って思っているんで、いわゆるなディナーは旅の中で数回にして、だいたいの夕飯はそんなにガッツリいかないんすよね。そんな時は〈パイオニア・サルーン〉という名店のプレートランチがバッチリなんですよ。プレートランチは、日本でいうホカ弁をパワーアップしたようなもの、としておきましょうか。そこのメニューはいろいろあって、どれも美味しいんですけど〈モチコチキン〉とか……。

 

── 何が入ってるんですか?

 

JxJx:鳥の唐揚げなんですけど、もち米の粉の衣で揚げたもので、最高なんですよ。で、ホテルに持って帰って、ラナイ(ベランダ)でそれを食べる。その時に、日本からレトルトの味噌汁を持っていくんですよ。その組み合わせ、最高です。あとはコリアン系の良い感じのプレートランチのお店も何店舗かあって、〈Me’s BBQ〉とか。そっちもよく行きます。

 

サンドイッチ王国、ハワイ

── なるほどね。先ほどハワイは朝ごはんがポイントとおっしゃってましたが?

 

JxJx:やっぱり、ハワイの真髄は朝なんですよね。自分の東京での生活とはまるで違って、自然と早起きになるし、とにかく朝が最高に気持ちいい。この空気感は他では味わえない、本当にすごいと思ってます。

 

── 朝ごはんにイチオシの料理は?

 

JxJx:これもいろいろあって悩みますが、今日のところはサンドイッチがオススメですね。日本のサンドイッチも相当良いですけど、ハワイのサンドイッチって、これまた美味しいんですよ。

 

── お気に入りのサンドイッチのお店を教えてください!

 

JxJx:〈高橋果実店(ヘンリーズ・プレイス)〉っていう、日系の方が代々営業している果物屋さん。超有名店ですね。ワイキキの端の方にぽつんとあって、隣にトランプのでっかいホテルが建っているっていう、その対比も面白い。で、そこは自家製アイスや、カットフルーツが有名で、昼間はひっきりなしに観光客が訪れるお店なんですけど、朝はちょっと閑散としてて、その雰囲気込みで、そこにサンドイッチを買いにいくのが楽しみで。

 

── フルーツ店なのにサンドイッチも美味しい、と。

 

JxJx:そうなんですよ。そのことに気づけた時はうれしかったですよね。こっちか! っていう。で、中でも、たまごと刻んだパセリの具がとくにオススメ。これがラップでぐるぐる巻きになってて、冷蔵庫の中に無造作に並んでるんです。そのラップに直でサインペンで「egg~」とか書いてある。このルックスにまずひかれますよね(笑)。もしかして、と思って、それ持ち帰ってホテルで食べた時の衝撃。手作りの実直な味でとても美味しかった。

 

── 適度にガサツなところも、なんとも言えないですね(笑)。

 

JxJx:そういう感じは、非常にプラスに働きます。あと、この間初めて行ったお店で、ノースショアのハレイワにある 〈ストートス〉。地元の人のために昔からあるような、ゆっくりと時間が流れるオールドスクールなサンドイッチ屋さんで。たたずまいも汐風に吹かれてほどよく経年変化したような、いいルックスしてるんですよ。日本で言うなら、年季の入った町のパン屋さんの作る自家製サンドイッチ、のノースショア版みたいな。ややこしい言い方ですが。

 

── なんとなくわかります、その感じ。

 

JxJx:そこには、木で出来た味のあるテラスのイートインスペースがあって。そこで地元の学生たちがワイワイ言いながら食べたりしてて。で、ここでサンドイッチを食べると、そのゆるやかに流れている歴史に「すいません、ちょっとお邪魔します」って感覚があって、それがたまらない。

 

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── サンドイッチ話だけでも相当広がりますね、ハワイは。

 

JxJx:ですね。で、新しめなところだと、ワイキキから車10分ぐらいのところに、カイムキっていう、これまたいいお店がたくさん集まってるエリアがありまして。そこのワイアラエアベニューっていうメインの通りからちょっと奥に入ったところにある〈スプラウト・サンドウィッチ・ショップ〉。お店に入ると良い感じのロコガールたちがせっせとサンドイッチを作ってるっていう、ほとんど映画のようなウソみたいな雰囲気のお店。

 

── 最高じゃないですか(笑)。

 

JxJx:ここもすっごい美味しいですよ。手作りサンドイッチで、自家製マヨネーズ使ってたり、具も日本ではあまり見ない組み合わせで。ターキーとりんごと癖のあるチーズが混ざっていたり、複雑な味だけど、結果はキャッチーな感じで。ひっきりなしに地元のお客さんが来てますね。小さいカウンターにイス3つみたいな感じなんで、あとは外にテーブルが少しなのでほぼ持ち帰り。

 

── オススメの食べ方は?

 

JxJx:ここのお店は、持ち帰り……ではなく、個人的には実はカウンター(笑)。 少し窮屈なんですが、出来立ての美味しさを味わえるってことと、地元の人が出入りしてる生活感のある空気も味わえる。ローカルはどのメニューを買っていくのかっていう観察も含めて、面白いんですよね。あと、それぞれのサンドイッチにつけてあるネーミングがいちいちかっこよくて。 たとえば〈THE DUKE〉とか。デューク・カハナモクと言えば、地元の偉大なるサーファーというか本当にスゴイ人ですけど、そういう感じがイチイチおしゃれだな、と。

 

ハワイは味を“ブースト”させる

── 他にも朝食メニューでオススメがあれば。

 

JxJx:まさかの〈アサイーボウル〉ですかね。もうおなじみといいますか、女性誌などで紹介されつくされた感もありますけど、これがね、おじさんが食べても美味いんですよ(笑)。ホントよく出来てる。 アサイー自体はブラジルですよね、ただここにフルーツとかグラノーラ、地元のハチミツとかミックスされてあの仕上がりになってハワイの空気とともに味わうと、心の底から納得できるっていう。

 

── なるほど。確かに日本じゃおっさんには縁遠いアイテムですよね。アサイーボウルで美味しいと思ったお店は?

 

JxJx:〈ボガーツ・カフェ〉とか〈ダイアモンドヘッド・コーヴ・ヘルス・バ ー〉とか、いろいろ食べ歩いたんですけど、これが灯台下暗しというか、実はロイヤル・ハワイアン・センターって観光客なら誰でも知ってるショッピングモールの〈アイランドヴィンテージコーヒー〉という超人気店。ここのアサイーボウルは、ものすごく完成度が高いと思います。たぶんこれ読んでるハワイ好きの人からは、「そこかい!」ってツッコミが入ってると思いますけど(笑)。いやいや、あれはやっ ぱり本気で美味しいんじゃないかと思ってますね。アサイー他、全部の具のバランスが良い。

 

── でもハワイビギナーにはわかりやすいお店の方がいいですよね。

 

JxJx:一度、トライしていただきたい感じ、あります。あとはノースショアにある〈ハレイワ・ボウル〉が自分の中で拮抗(きっこう)してます。〈ハレイワ・ボウル〉に関しては持ち帰りにして、ノースショアのベンチに座ってぼーっと海を見ながら食べていたら、目の前にいたおばさんがこっちに向かって「海を見て!」って大声で叫んでて。何かと思ったら、クジラが跳ねるっていう奇跡の瞬間に出合えて。それで美味しさも倍増っていう(笑)。

 

── 最高の食体験じゃないですか(笑)。

 

JxJx:また、こういうパターンかよ、なんですが、なんかハワイは味をブースト(増幅)させる要素がいっぱいあるんですよ。

 

── ミュージシャンならではの名言出ました!

 

JxJx:純粋に味そのものを楽しむのも、もちろんいいんですけど、シチュエーションも込みで味わいたいっていうのは、あります。そうさせてくれるのがハワイの面白さかな、と。たまにハワイが好きなミュージシャン同士で話が盛り上がることがあるんですが、クレイジーケンバンドの横山剣さんとお話しした時に教えてもらった大好きな話がありまして「僕は〈ハタ・レストラン〉がすごく好きなんだよね。昔の日本が残ってて、タイムスリップしたような感覚になれる」っておっしゃってて。これってまさにハワイっぽい面白さだよなと思ってます。ハワイの移民の歴史そのものがエフェクトしてくるというか。一方で、ニューウェイヴなお店もあったりして。古いものと新しいものが混ざっている感覚も面白いんですよね。

 

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── ニューウェイヴなお店で注目は?

JxJx:ダウンタウンにいろんなお店ができてるみたいですが、個人的には新しいところでいうと、ここ3、4年って感じになっちゃいますが、ベトナム料理の〈ザ・ピッグ&ザ・レディ〉は衝撃でしたね。これもダウンタウンの大人気店。で、ワード・ヴィレッジにヒップホップ好きはニヤリな名前の〈ピギー・スモールズ〉という姉妹店も出来て。ここのフォー、めちゃくちゃ美味しいんですけど、さっきの衝撃っていう部分の話になりますが、〈フォー・ストラミ・バインミー〉っていう、バインミー(ベトナム風の サンドイッチ)に、フォーの出汁みたいなのがついてきて、その出汁にバインミーをディップしながら食べるんですよ。ちょっとこれまで体験したことのなかったメニューがあるんですよ。

 

── へぇ~!

 

JxJx:食べる前は、どんな感じになるのかかなり未知数だったんですけど、これが見事なかけ算で、最高! に美味しい。あと、パンがベチャベチャになっても全然イヤじゃないってのもビックリでした(笑)。とにかく、自分にとってここは衝撃的な新しさ、かつ美味しさでしたね。

 

── それは一度食べてみたい! なんか日本でアジア料理を食べようとすると、いかに本場の味に近いかで判断することが多いじゃないですか? でも、ハワイにもともとあるミックス・カルチャーの土台があるのかもしれないけれど、オリジナルなものも取り入れながら、どんどん自分たちの感覚や、風土や気候に合わせて変えていって、好みの味にしていく。その恐れのなさが興味深いし、面白いですよね。

 

JxJx:そうですね。今日話せてないですけど、そういうのたくさんありますからね。そして、そこは本当に面白いと思ってます。

 

── そういう感覚をJxJxさんが面白がってるのは、さまざまな音楽を吸収して咀嚼(そしゃく)して、まったく新しいサウンドを作り出していったYOUR SONG IS GOODの音楽にも通じているなって感じるんですが。

 

JxJx:ははは。最初はニオイにやられたって話でしたけど、そこらへんでも、ちょうどヴァイブスがあってたんですかね(笑)。でも、 たしかに行けば行くほどハワイのいろいろな文化が混ざっている部分の面白さにヤラれているんで、言われてみたらそうかもしれないですね。

 

インタビュー撮影:石川真魚

 

書いた人:宮内健

宮内健

1971年東京都生まれ。ライター/エディター。『バッド・ニュース』『CDジャーナル』の編集部を経て、フリーランスに。以降『bounce』編集長、東京スカパラダイスオーケストラと制作した『JUSTA MAGAZINE』編集を歴任し、2009年にフリーマガジン『ramblin'』を創刊。現在は「TAP the POP」などの編集・執筆活動と並行してイベントのオーガナイズ、FM番組構成/出演など、様々な形で音楽とその周辺にあるカルチャーの楽しさを伝えている。

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