「かに玉」をふわトロに仕上げる方法を創業50年以上の老舗町中華に教わってきた

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卵がふわふわの「かに玉」が食べたい

まいど、下関マグロです。

町中華でいただく「かに玉」って、卵がふわふわじゃないですか。

どうすればあんなにふわふわでトロトロになるんでしょうか。

僕も何度か家で作ってみたのですが、固くなってしまうか、半熟のままだったりで、どうもうまくいかないんですよね。

 

というわけで、ふわとろ卵の「かに玉」を教えてもらいにきたのが西浅草にある老舗の町中華「十八番」さんです。

 

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東京メトロ銀座線・田原町駅から歩いて6分の場所にあります。

創業からすでに50年以上経過していますが、初代は48歳という若さで亡くなったため、歴代「チーフ」と呼ばれる方が厨房をあずかっています。

 

「かに玉」をふわトロに仕上げるコツ

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教えてくれるのは、5代目のチーフとなる青山大介さん。

こちらの「かに玉」は本当に味も素晴らしいんですよ。

 

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▲かに玉定食(900円)

 

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こちらでは定食の他に「かに玉そば」「かに玉丼」も提供しています。どちらも850円です。

 

f:id:Meshi2_IB:20191213113951p:plainチーフ:定食よりも50円安いぶん、そばや丼のほうがよく出ますね。

 

では、作り方を教えていただきましょう。まずは、材料から。

 

【かに玉・材料(1人分)】

  • 卵 3個
  • かにの缶詰 20g
  • ネギ(せん切り) 12g
  • タケノコ(水煮・細切り) 4g
  • シイタケ(かさを細切り) 4g
  • サラダ油 分量外

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(タレ)

  • 中華スープ 180cc
  • 水 180cc
  • 醤油 大さじ1
  • 砂糖 大さじ1
  • 酒 大さじ1
  • うま味調味料 小さじ1
  • 水溶き片栗粉 適量
  • ごま油 適量

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(お好みで)

  • キャベツ(千切り) 適量
  • グリーンピース 適量

 

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──あー、卵を3個使っているんですね。僕は自分で作るときは1個か2個しか使っていなかったので、そのあたりもふわトロにできなかった理由ですね。

 

f:id:Meshi2_IB:20191213113951p:plainチーフ:まずは、ボウルに具材(かにの缶詰、ネギ、タケノコ、シイタケ)を入れておきます。

 

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f:id:Meshi2_IB:20191213113951p:plainチーフ:シイタケは乾燥したものを戻して使っていますが、普通に生のシイタケでもいいですよ。

 

──具材はけっこう少な目ですが、それもふわトロと関係ありますか?

 

f:id:Meshi2_IB:20191213113951p:plainチーフ:たしかに、具材が多すぎるとふんわりといかないですね。

 

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f:id:Meshi2_IB:20191213113951p:plainチーフ:卵を別の器に割ってからボウルに移します。殻が入ったときに取り除きやすいですからね。

 

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ここで、とても重要なポイントを教えていただきました。

チーフは軽く10回ほど混ぜています。混ぜ過ぎないのがコツだそうです。

 

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f:id:Meshi2_IB:20191213113951p:plainチーフ:混ぜ過ぎると卵のコシがなくなって、ふわトロに仕上がらないんですよ。

 

──がーん、僕は混ぜれば混ぜるほどふわトロに仕上がるのかと思っていました。そうではないんですね。

 

f:id:Meshi2_IB:20191213113951p:plainチーフ:そうです、混ぜ過ぎは、べちゃっとしておいしくないんですよ。

 

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さて、卵を焼いていきますよ。

まずは中華鍋にお玉一杯の油を入れて、鍋に油をよくなじませます。

鍋全体に油がなじんだら、余分な油を容器に戻し、先ほどの卵と具材をざっくり混ぜたものを投入します。

 

f:id:Meshi2_IB:20191213113951p:plainチーフ:焦げないように気をつけながら強火で焼いていきます。

 

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まずは、あまりさわらず、20~30秒焼いたら、手早くひっくり返してまた、10~20秒ほど焼きます。

再びひっくり返します。

ほとんどさわらず、周辺をお玉でちょっとさわって、形を整えます。

こちらではあっという間、約1分でしたが、家庭用の火力だともう少しかかりそうです。ポイントは「あまりさわらない」ことですかね。

 

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お皿にはあらかじめ、千切りキャベツをこんもり盛っておきます。

 

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これもちょっとしたワザだそうです。

 

f:id:Meshi2_IB:20191213113951p:plainチーフ:キャベツの千切りを先に皿に入れておくと、卵がこんもりといい形になるんですよ。

 

形だけではなく、キャベツの千切りが入ることで、さわやかな味わいも生まれますね。

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そして、タレを作っていきます。

 

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まずは、中華スープを180ccほど入れます。ご家庭では市販の中華スープの素を溶いた

もので代用してください。

 

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f:id:Meshi2_IB:20191213113951p:plainチーフ:そこへ、醤油、水、砂糖、酒、うま味調味料を入れます。

 

──酢は入らないんですね。

 

f:id:Meshi2_IB:20191213113951p:plainチーフ:他では酢を入れているところがけっこうありますけど、ウチは入れないですね。

 

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▲チーフが「醤油」と言っているものはこちら

 

f:id:Meshi2_IB:20191213113951p:plainチーフ:これ、チャーシューを煮た醤油なんです。肉の旨みが溶け出していて、すごくまろやかな味わいの醤油なんですよ。さすがに一般のご家庭にはないと思うので、普通の醤油で代用していただければ。

 

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f:id:Meshi2_IB:20191213113951p:plainチーフ:水溶き片栗粉を入れて、最後にごま油をまわし入れてタレはできあがりです。

 

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f:id:Meshi2_IB:20191213113951p:plainチーフ:タレをかけて、グリーンピースをのせます。

 

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おお、できましたね。惚れ惚れするような美しさですね。

いただいてみると……うおーっ、卵がふわトロです。

これはさっそく自分でも作ってみたいですね。

 

十八番の名物と言えば「ニラそば」「カッパばしわり」

──そうだ、こちら「ニラそば」発祥のお店だそうですね。

 

f:id:Meshi2_IB:20191213113951p:plainチーフ:発祥というか、「十八番で最初に出した」ということですかね。

 

もともと、十八番は浅草寿町に栗原経雄氏が開業したそうです。

経雄氏の兄である永治郎氏がいっしょに働くようになり、その後、永次郎氏は独立し、ここ西浅草にお店を出したのです。

すでにそのころから「ニラそば」はあったそうで、その後、親族たちが十八番をあちらこちらで開業。その十八番では、だいたい「ニラそば」を出していたそうです。

だから十八番=ニラそばというイメージが定着したのだそうです。

 

ではさっそく、ニラそば、お願いします。

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まずは麺を茹でます。

 

f:id:Meshi2_IB:20191213113951p:plainチーフ:縮れてますが、ストレート麺を使っています。

 

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あ、茹でてみたら、本当にストレート麺ですね。「ちょっと丼で待っててね状態」です。

 

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豚バラ肉を炒め、ニラを投入します。ニラは大量ですね。一把分くらいです。

 

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スープを入れ、調味料を入れたら、あっという間に煮立ってきました。

 

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これをさっきの麺にかけて、できあがりです。

 

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▲ニラそば(750円)

 

うっほー。ウマウマですねぇ。先ほどのかに玉もそうですが、見た目ほど味は濃くなくて、やさしい味わいです。

 

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店内には、こんなポスターも。かっぱばし名物、「カッパばしわり」だそうです。

ここはかっぱ橋道具街のすぐ近くなので、こんなメニューが生まれたんですね。お願いしましょう。

 

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持ってきていただいたのはオーナーの栗原さだ子さん。

 

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▲カッパばしわり(550円)

 

キュウリが入った酎ハイですね。さっぱりしていて、ガンガン飲めそうです。

 

そうそう、このお店って、厨房の男性陣、フロアの女性陣、みなさん仲がよくて、そんな雰囲気もお店の良さになっているんですよ。

 

十八番さんのかに玉が食べたくなったら

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オーナーの栗原さだ子さん(前左)、久保園和子さん、チーフの青山大介さん(後右)、高山和伸さん。

みなさん、いつまでもお元気で。長くお店を続けてほしいです。

そして今回、かに玉はやっぱり調理人の技術で味の差が出てくる料理だとあらためて思いました。

ぜひプロのつくる絶妙な仕上がりのふわとろ「かに玉」を食べに行ってみてください。

 

撮影:平山訓生

 

お店情報

十八番

住所:東京都台東区西浅草2-18-7
電話番号:03-3844-0108
営業時間:11:00~16:00 17:30~21:00
定休日:日曜日・祝日

www.hotpepper.jp

 

書いた人:下関マグロ

下関マグロ

1958年生まれ。山口県出身。出版社、編集プロダクションを経てフリーライターへ。『東京アンダーグラウンドパーティー』(二見書房)、『歩考力』(ナショナル出版)、『まな板の上のマグロ』(幻冬舎)、に『ぶらナポ 究極のナポリタンを求めて』(駒草出版)など著書多数。

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