なんでもおにぎりにしてしまう芸人・渡部おにぎりさんの「おにぎり愛」が本物すぎた

「絶対にブレイクする」と大注目のお笑い芸人・金の国の渡部おにぎりさん。おにぎりへの思い入れが強く、おにぎり専門のTwitterアカウントを持っているほど。今回は、そんな彼におすすめのおにぎりなどについてインタビューします。

ブレイク間違いなしのお笑い芸人は「おにぎりマニア」だった

日本人のソウルフードともいえる食べもの……それは、おにぎり!

食べたことのない人はほとんどいないであろう、日本の心ともいえる存在です。

そんなおにぎりを、こよなく愛する芸人がいることをご存じでしょうか。

 

それは……お笑いコンビ・金の国の渡部おにぎりさん!

 

 

さまざまなお笑いコンテストにて優勝、または王者に選ばれており、さらに先日行われた某有名お笑いグランプリではピンネタで決勝3位タイという結果を残している、まさにブレイク寸前の若手実力派芸人です。

 

そんな渡部さん、実は「おにぎり坊や」という名前でオリジナルのおにぎりレシピを公開するTwitterをやっています。

 

twitter.com

 

明日のお笑い界ばかりでなく、おにぎり界をも担う渡部さん。今回、その熱いおにぎり愛を吐露してもらうべく、インタビューを決行いたしました!

 

──ご多忙の中、ありがとうございます。まず、「渡部おにぎり」という芸名からして既におにぎり愛に溢れていますよね。芸名の由来は?

 

渡部おにぎりさん(以下、渡部さん):もともとは渡部恭平っていう、本名でやっていたんです。芸名にしたきっかけは、2年くらい前。コロナ禍の少し前くらいですね。
僕は前々から家に人を呼んで料理を振る舞ったりするのが好きで、特におにぎりを作るのがすごく楽しくて。でも、相方の桃沢はそういうのが苦手なタイプだから、あんまり食べてもらえなくて、僕的にはそれが悔しくて……。

 

──たしかに、たまにいますよね。他人の作ったおにぎりが食べられないっていう人。

 

渡部さん:僕がいろんな人におにぎりを作ってあげて、それをおいしいと言ってもらえたら、相方ももしかしたら食べるんじゃないかと。
そこからレシピを作ったりSNSにおにぎりをアップしたりする機会が増えてきまして、僕は顔とか体型も込みでおにぎりっぽいみたいな感じだし、芸名にしちゃった方がいいんじゃないかって感じで「渡部おにぎり」になりました。

 

※この取材はオンラインにて行いました

 

──思っていたより深いエピソードでした(笑)。おにぎりは、やっぱり子どもの頃から好きだったんですか?

 

渡部さん:大好きです! コンビニでもお弁当屋さんでも、好きなメニューはおにぎりです。そもそも白ご飯が好きなんですよね。昔からいつもご飯に何が合うかを考えていて。でも、いつでもご飯を食べられるわけじゃないので、おにぎりのお弁当にしていたんです。

 

──なるほど。おかずをおにぎりの具として握る、みたいな感覚ですね。先程も自宅に人を呼んで振る舞うという話がありましたが、料理自体が得意なんですね。

 

渡部さん:大学生の時に居酒屋さんでアルバイトをしていて、その時に厨房を任されていたんです。料理はそこで覚えました。店長がまかないにこだわる人で、その時に覚えたことを参考にしているんです。
盛り付け方や色合い、例えば最後に緑のものを使うと見栄えが良くなるとか、赤いものは下の方にとか……。細かいことをいっぱい教えてもらいました。

 

──これまで作ったおにぎりレシピの数はどれくらいになるんですか?

 

渡部さん:SNSにあげてないものを含めると350種類くらいです。

 

──350ですか! おにぎり専門店でも、なかなかその数はないですよ。

 

渡部さん:いや、SNSにあげている数字だけでいうとそれくらいですけど、人前に出せないレベルのものもいっぱいありますから。レシピにならなかった試作品とかも全部入れると、2年間くらいで通算7〜800個くらいは握っていると思います!

 

──どういう時にレシピを思いつくのでしょうか?

 

 

渡部さん:スーパーにふらっと行って、おいしそうだなと思った食材をまずメインの具にして、それに何を組み合わせたらいいかなって考えるんです。そんなことをしてるだけで、何10分でもスーパーにいられますね。

 

──その場でのインスピレーションで考えるってことですか? すごい!

 

渡部さん:通りかかった飲食店のおすすめメニューを見て、それをおにぎりの具にしようかなとも良く考えます。
冬に「おでんあります」みたいな看板を見た時なんかは、めちゃくちゃおでんが食べたくなったので、シンプルにおでんを作って、おでんの汁を炊飯器に入れて炊き込んで卵を握って「おでん風炊き込みおにぎり」を作りました。

 

 

──おでんの汁を使うという発想力、さすがです。これまでのレシピの中でも渡部さんが「これは!」と思ったおにぎりを挙げてもらえますか?

 

マイベストおにぎりは「アボカドと塩昆布おにぎり」

 

渡部さん:「アボカドと塩昆布おにぎり」ですかね。
レシピは、1.アボカドを皮剥き、種取り、細かく切っておく。2.塩昆布と1をごま油で混ぜる。3.白ご飯に2を入れて混ぜ、形にしたら完成です。
アボカドと塩昆布がマッチしていて、おいしくできたなあって思います。ゴマ昆布とかはおにぎりの定番ですけど、あえての塩昆布がいい味を出してるというか、なんか良かったんですよね。

 

 

──アボカドのネットリした食感と塩昆布の食感の違いも楽しそうですね。

 

渡部さん:あとは「卵かけご飯風焼きおにぎり」。
レシピは、1.ご飯、黄身、醤油、小ネギを混ぜておにぎりの形にする。2.ごま油で両面焼いて、焼き色がついたら完成です。卵かけご飯風のおにぎりはコンビニにもありましたけど、焼いたのが最高でした。

 

 

──本来なら握るものではなくても、「おにぎり化」できるという良い例ですね。

 

渡部さん:それと、「味噌マヨネーズの七味焼きおにぎり」も大成功でした。レシピは、1.味噌、マヨネーズ、みりんを混ぜておく。2.白ご飯に七味を加えて混ぜておく。3.おにぎりの形にして1を塗り、オーブンで焼いたら完成。オーブンじゃなくて、バーナーで炙ってもおいしいですよ。

 

 

──いやあ、素晴らしいレシピが続々と……。でも、これまでにイマイチだったな~というレシピもあったりするんですか?

 

渡部さん:350種類も握ってきたので、それはもちろんです(笑)。パッと思い浮かぶのは、うなぎの蒲焼き味の駄菓子を使ったおにぎりですね。あれ、すごく好きな味だったから、ご飯にもいけないかなって思ったんですけど。

 

──普通にちょっとおいしそうですよね。

 

渡部さん:(目を輝かせて)ですよね? 白ご飯にうなぎのタレを混ぜて、さらに七味を入れて、うなぎの蒲焼き味の駄菓子を具にして握ったのですが、これがまったく合わない! 失敗だったなって……。期待値が高かった分だけ残念だったというのがありました。

 

──やはりお菓子はお菓子、ということでしょうか。他にもありますか?

 

渡部さん:「おかかタコわさびおにぎり」ですかね。味はとってもおいしかったんですよ。ただ、見た目がめちゃくちゃ気持ち悪かったんですよね(笑)。おいしいんだけど、食べる気を失くす見た目で……SNSにアップしたら、同期の芸人から連絡が来て「きょうのおにぎりはちょっと……」と言われました。

 

 

渡部さん:あと、純粋におにぎりにならなかったのが「スタミナ目玉焼きおにぎり」。ひき肉とニラとニンニクを握ったんですが、ベタベタだしボロボロになって崩れちゃって、撮影のために形を整えました。他にもこういうのがいっぱいあるんですよ(笑)。

 

 

──350種のおにぎり、それぞれにエピソードやドラマがありそうですね(笑)。まだ世には出していない新作のおにぎりレシピ、ここでコッソリ披露してもらえたりとかできますか……?

 

渡部さん:SNSにアップしてないだけで、いろいろと新作は作ってるんですよ。この前作ったのが「じゃがバターおにぎり」。じゃがいもも大好きで、何かに使えないかなと思って考えました。
じゃがいもをおにぎりの形にカットして焼肉のタレで味付けをしてバターも入れて、おにぎりにのせるんです。青のりをかけても風味が出ておいしかったですね。

 

──ああ、最近そんな感じのコンビニのおにぎり、ありますよね。いやでも、じゃがいもでそれをしようとする発想は普通出てこないですよ!

 

渡部さん:そもそも、おにぎりのことをこんなに考えている人間がいないと思います(笑)。

 

いつかおにぎり屋さんを開店したい

 

──でも、渡部さんきっかけで「おにぎりって面白い」って思う人が増えていくかもしれませんよ。渡部さんがおにぎりを作るにあたってのコダワリがあれば、教えてもらいたいのですが。

 

渡部さん:おにぎりは形が大事なので、炊く時に水の量は炊飯器のメモリより少なめにして硬めに炊いてます。でも、炊き込みご飯だけはあまり気にせず普通の柔らかさに炊いてますね。

 

──焼きおにぎりの焼き方のポイントは?

 

渡部さん:2パターンあります。さっきの「卵かけご飯風焼きおにぎり」のように、ごま油をベースにしたい時はフライパンで。「味噌マヨネーズの七味焼きおにぎり」やチーズを焦がしたい時はバーナーで炙った方が綺麗に仕上がります。

 

──では、今後の「おにぎり」の目標を教えてください!

 

渡部さん:何か計画を立ててるわけではないですけど、僕は居酒屋さんの雰囲気とかすごく好きなので、いつかそういう店ができたらと思います。そもそも、おにぎり屋さんが出せたらベストなんですけどね。

 

 

おにぎり坊やにおにぎりレシピを教わった

Twitterに掲載中の渡部さんのオリジナルおにぎり。

『メシ通』読者向けに特選レシピを紹介したいと思います。ただし、食材の分量はすべてのレシピにおいて「適量」で、フィーリングで考えてください。

 

渡部さん:なによりもおにぎりはフィーリングが大事です! 食材の細かい分量を気にするより、まずは冷蔵庫にあるもので作ってみてください。あと、「この組み合わせだったらおいしいかな?」とイメージすることが大事。分量なんて適当でいいので、まずは握ってみることこそが真のおにぎり魂だから!

 

焼ネギ明太マヨおにぎり

【材料】

ご飯/長ネギ/パスタの明太ソース/マヨネーズ ……すべて適量

 

【作り方】

  1. 長ネギを適当なサイズ(小さめ)に切っておく。
  2. 長ネギを中火で炒めたら、別皿に明太ソースとマヨネーズを入れ、炒めた長ネギと混ぜておく。
  3. おにぎりを握り、真ん中に具として2を入れたら完成!

 

 

渡部さん:これは冷蔵庫に余っていた食材で作ったもの。長ネギとパスタの明太ソースが残っていて……えーい、これでおにぎりにしちゃえ! って感じで作りました。残りものでのレシピではこれが最高。偶然にできたレシピですがおいしかったです。

 

ちらし寿司おにぎり

【材料】

ご飯/溶き卵/桜エビ/万能ネギ/お酢 ……すべて適量

 

【作り方】

  1. 溶き卵をフライパンで焼き、いり卵を作っておく。
  2. ご飯に1と、桜エビ、細かく切った万能ネギ、お酢を入れて混ぜる。
  3. 最後に2を握って形にしたら完成!

 

 

渡部さん:お寿司系のおにぎりを作りたいと思ったのですが、酢飯に合うものといえばちらし寿司だな、と。これは3回くらいリピートしてます。簡単だし格安でお気に入りのレシピです。

 

ツナアボカドおにぎり

【材料】

ご飯/アボカド/ツナ/わさび/醤油 ……すべて適量

 

【作り方】

  1. アボカドを細かくカットする。
  2. ツナに1を加え、わさび醤油をかけて混ぜる。
  3. おにぎりを握り、真ん中に2を入れて完成!

 

 

渡部さん:ツナとアボカドの相性ってめっちゃいいですよね。実はこれは2種類作っていてマヨVer.のものもあるんです。Twitterにちっちゃい子どもから「おいしそうだから作り方教えて」とDMがあってすごく嬉しかったのも覚えています。

 

からし蓮根炒めおにぎり

【材料】

ご飯/蓮根/長ネギ/からし/醤油/マヨネーズ ……すべて適量

 

【作り方】

  1. 蓮根を一口サイズ、長ネギを細かく切っておく。
  2. からしと醤油、マヨネーズを和える。
  3. 蓮根と長ネギを中火で炒め、2を入れて味付け。
  4. おにぎりを握り、真ん中に3を入れて完成!

 

 

渡部さん:熊本の名産で何かできないかと考えたレシピです。ご飯との相性もぴったりでなかなか良かったです。長ネギはその時に残っていたから入れました(笑)。

 

うなタレ卵おにぎり

【材料】

ご飯/長ネギ/豚こま肉/塩/こしょう/うなぎのタレ/溶き卵/醤油/砂糖 ……すべて適量



【作り方】

  1. 長ネギを細く切る。
  2. 豚こま肉と1を一緒に中火で炒め、塩、こしょう、うなぎのタレを入れる。
  3. 溶き卵に醤油と砂糖を入れて、甘い卵焼きを作る。
  4. おにぎりを握り、真ん中に2を入れる。
  5. 4に3を巻いたら完成!

 

 

渡部さん:おいしかったんですけど、これは持ちにくいですよね……。おにぎりとしての欠点です。うなぎが買えなくて豚肉で勘弁してって感じで作ったおにぎりです。

 

鮭タルタルおにぎり

【材料】

ご飯/ゆで卵/マヨネーズ/酢/こしょう/鮭の切り身/バター ……すべて適量

 

【作り方】

  1. タルタルを作る。ゆで卵を潰し、そこにマヨネーズ、酢、こしょうを入れて混ぜる。
  2. 鮭を中火で焼き、バターで味付けする。
  3. 2の骨を取ってほぐし、1に混ぜ込む。
  4. おにぎりを握り、真ん中に3を入れて完成!

 

 

渡部さん:このレシピはタルタル先行で作りました。僕、シンプルにタルタルが大好きなんですよ。タルタルだけでご飯がいけるくらい。でもタルタルと鮭との相性は、やっぱり最高ですね!

 

ピリ辛卵焼きおにぎり

【材料】

ご飯/卵/天かす/ごま油/豆板醤 ……すべて適量

 

【作り方】

  1. 卵を溶き、その中に天かすを入れて混ぜる。
  2. フライパンにごま油をひいて、弱火で1を炒める。
  3. 2に豆板醤を入れる。
  4. おにぎりを握り、真ん中に3を入れて完成!

 

 

渡部さん:天かすが好きで、何かに使えないかなと考えたレシピです。卵と一緒に炒めたらおいしかったので、ピリ辛にしてさらにご飯との相性をよくしました。お酒のおつまみにもぴったりです。

 

豚肉と梅ポン酢おにぎり

【材料】

ご飯/梅肉/豚こま肉/ポン酢 ……すべて適量

 

【作り方】

  1. 梅肉を叩く。
  2. 豚肉を中火で炒めて、1とポン酢を入れる。
  3. おにぎりを握り、真ん中に2を入れて完成!

 

 

渡部さん:豚肉のポン酢炒めは、大学時代のアルバイト先だった居酒屋さんのおすすめメニューなんです。そのままでも良かったけど、梅も合わせられるんじゃないかな? と思ったら当たり。てっぺんにネギを散らしたのは、店長の教えです(笑)。

 

──いろいろと本当にありがとうございました。最後に、『メシ通』読者へのメッセージをお願いします。

 

渡部さん:おにぎりを作る人がちょっとでも増えてくれたら嬉しいです。こんなおにぎりがおいしそうというものがあれば、おにぎり坊やのTwitterにリプをください。
おにぎりの可能性は本当に無限大です。気になるレシピがあれば、ぜひ皆さんも握ってみてくださいね。

書いた人:西たまお

西たまお

大学在学中より映像ディレクターを志し、映像制作会社で宣伝を務めた後に、広告代理店に社内ライターとして勤務。2016年より独立し、フリーに。主にWEBサイトで健康や食、お笑いに関するさまざまな記事を執筆中。

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