こんにちは、料理・食文化研究家の庭乃桃です。今回ご紹介するのは『メシ通』ではおなじみの食材、鶏むね肉を使ったステーキです。
ヘルシーでリーズナブルなのがうれしい鶏むね肉ですが、メインにはちょっと物足りなさを感じる、という方もいらっしゃるかもしれません。そんな鶏むね肉をガッツリメインに据えてステーキとしていただくレシピをご紹介します。
硬くなりがちな鶏むね肉ですが、肉質のやわらかさやしっとり感をできるだけ保ちながら焼く方法もご紹介します。
記事の後半では、パンチの効いたきざみ玉ねぎのガーリック醤油ソースと、さっぱり香味野菜のソースの2種類をご紹介します。また、相性ぴったりのバターライスも!
ステーキ、ソース、バターライス、全部同じフライパンで作れる「鶏むね肉のステーキ」、早速作っていきましょう。
「鶏むね肉のステーキ」
材料(1~2人分)
- 鶏むね肉……1枚(350g)
- 薄力粉……適量
- 油……小さじ2※
【鶏むね肉下味】
- 砂糖……小さじ1
- 酒……小さじ2
- 塩……小さじ1/4
- こしょう……少々
※フッ素樹脂加工のフライパンなら小さじ1、それ以外の場合は小さじ2程度の油で焼きます。
作り方① 鶏むね肉の厚みを均一にする
今回はなるべく最小限の火入れでしっとりジューシーに仕上げたいので、鶏むね肉の厚みをできるだけ均一にしておきます。
臭みのもととなる、鶏むね肉の皮の下や端の方にある余分な脂や血を取り除いたら、鶏むね肉の真ん中あたりに縦に切り込みを入れて……
左右に開いていきます。
なるべく鶏むね肉が平らになるように広げていきますよ。
片側が終わったら、向きを変えて反対側も同様に開きます。いわゆる「観音開き」という切り方です。
全体の厚みが2cm程度になればOK。手のひらで軽く押して形を整えます。
作り方② 下味をつける
次は、鶏むね肉に下味をつけます。鶏むね肉全体に、砂糖と酒、続いて塩とこしょうをなじませましょう。
脂肪が少なく、加熱するとパサついて硬くなりやすい鶏むね肉。でも加熱で出て行ってしまう水分をあらかじめ酒で補い、さらに保水力(水分を抱え込む力)のある砂糖を先に下味に加えておくことで焼いても比較的硬くなりにくくなるんです。
作り方③ 焼く
まず、焼く直前に鶏むね肉全体に薄く薄力粉をまぶします。
面倒であれば無理にしなくてもかまいませんが、軽く粉をはたいておいた方が肉汁が逃げにくくジューシーに仕上がります。また、後でソースをかけて食べる時にもからみが良くなります。
冷たいフライパンに油を引いて、鶏むね肉を皮目から広げ入れます。そして火をつけ、中弱火で焼き始めましょう。鶏むね肉は急激な温度変化を受けると硬くなりやすいので、こうして皮越しにじわじわ火を通していくのがポイントです。
時々皮の色を確認しながら焼いていき、2分ほどたって皮がきつね色になってきたところでふたをかぶせて弱火に落とします。
皮目はまだ下にしたままです。そのまままた2分ほど、今度は蒸し焼きにしていきます。
鶏むね肉全体が白くなってきたら、ふたを取って肉をひっくり返します。再びふたをして、今度は肉の側を1~2分蒸し焼きにして中まで火を通します。
最後は火を止めて、そのままふたをして1分ほど蒸らして完全に火を通せば完成です!
焼きたて熱々の鶏むね肉は、すぐに切ってしまうとせっかくの肉汁が流れ出てしまいます。鶏むね肉が指で触れる程度まで落ち着いてから食べやすく切ると、一番おいしくいただけますよ。
中を切ってみると、鶏むね肉のしっとりジューシーな肉質がお目見え。もうこれだけでもおいしそうです!
鶏むね肉を焼く時は、赤唐辛子やスライスしたにんにく(共に分量外)などを一緒に焼いても風味がついておいしいです。
食欲をそそるソースで楽しむ
やはりソースがあるとごちそう感が格段にアップします。おすすめのソースを2つご紹介しますね。
きざみ玉ねぎのガーリック醤油ソース
材料(鶏むね肉1枚分)
- 玉ねぎ(みじん切り)……1/4個分(50g)
- にんにく(すりおろし)……小さじ1/2
- みりん……大さじ2
- 醤油……大さじ2
こちらは、鶏むね肉を焼いた後のフライパンでそのまま作ります。
まずは、みりんとおろしにんにくを入れて中弱火でふつふつと煮立たせます。
最後に醤油とみじん切り玉ねぎを加え、全体を混ぜながらひと煮立ちさせればできあがり。
先ほどカットした鶏むね肉に、たっぷりかけていただきましょう。
まずは、肝心の鶏むね肉。しっとりしていてジューシー、焼いた鶏むね肉の香ばしさもところどころにあって、とてもおいしいです。
そしてこのソースをかけていただくと、おいしさがさらに倍増! 食欲をそそるガーリックが香るパンチのある味わいですが、コクのある玉ねぎの甘みとシャキシャキ感がやみつきになります。蒸し野菜(分量外)なども添えたら、このソースで一緒にもりもり食べられそうですね。
さっぱり香味野菜のソース
材料(鶏むね肉1枚分)
- ねぎ(薄切り)……1/2本分
- しょうが(極千切り)……2かけ分
- 醤油……大さじ1と1/2
- 鶏ガラスープの素(顆粒)……小さじ1と1/2
- 酢……小さじ1と1/2
- オリーブオイル……小さじ1と1/2
- 砂糖……小さじ1/4
そしてこちらは、材料をすべて混ぜ合わせるだけの、火を使わないソース。
ポイントはしょうがを千切りにした後に水にさらすこと。切ったしょうがをキッチンペーパーに包んだまま水に浸し、引き上げてぎゅっとしっかり水気をしぼります。するとしょうがの余分な辛みが抜けて、食感もシャキシャキになりますよ。
カットした鶏むね肉に香味野菜ごとたっぷりとかけていただきましょう。
ひと口食べれば、食べ応えのあるしっとりした鶏むね肉にじわ~っと染みた香りの良いソースがとてもおいしいです! 少量の酢も入っているのでさっぱりとしていますが、たっぷりのねぎとしょうががなんとも後を引きます。香味野菜のシャキシャキ感と食欲をそそる香りで、こちらも箸が止まらなくなりますね。
ご飯も食べたい派にはバターライスも!
さて、ご飯も少し食べたいという方のために、おいしいバターライスの作り方もご紹介しましょう。こちらも、鶏むね肉を焼いた後のフライパンで簡単にできるんです。
鶏むね肉を取り出した後のフライパンにバターを溶かし、塩少々(共に分量外)を入れ、
ご飯(分量外)を炒めて、仕上げにお好みできざんだパセリを少々(分量外)混ぜ入れます。
一緒に並べて、至福のご飯タイムを!
まとめ
今回は、鶏むね肉をステーキにして楽しむメニューをご紹介しました。しっとりジューシー、それでいて香ばしく焼き上げた鶏むね肉は満足感があり、食欲をそそるソースでいただくので間違いのないおいしさです。
鶏むね肉の基本的な焼き方はそのままに、ソースをさまざまアレンジして楽しむことができるのもうれしいところ。鶏むね肉を飽きずにおいしくいただけるメニューが増えると思いますので、ぜひ皆さんもお気に入りのソースを見つけてみてください。
書いた人:庭乃桃
料理・食文化研究家、女子栄養大学 食生活指導士。「おいしい」を取り巻くさまざまな食卓の風景に目を向けながら、企業向けレシピの開発や、執筆、講演など多方面で活動中。著書『おいしく世界史』(柏書房、2017年)。