こんにちは! メシ通レポーターのタベアルキスト Sudaです。
「『食べる通信』を食べてみる」シリーズ。こだわりの食材と情報誌が届く、『食べる通信』を取り寄せ、どんな食材なのか実際に食べてみよう! という企画です。
『食べる通信』とは?
一般社団法人日本食べる通信リーグが全国展開している食材付き月刊情報誌。
会費制で、読者になると各地域における農水産物の生産者に焦点を当てた特集記事を掲載した冊子と、彼らが収穫した食物が毎月セットで届けられる。
第5回は『長島大陸食べる通信』 長島の黒牛
今回は『長島大陸食べる通信』をセレクトしてみました。
「そもそも長島ってどこ?」って方も多いかと思います。
「長島」は鹿児島県の北西部に位置する島で、熊本県の天草諸島や水俣市などに隣接しています。海の幸も山の幸も豊かな島で、「長島大陸」と称して地方創生にも力を入れているようです。
今回の食材
届いた焼肉用にスライスされたお肉が1パック。部位はロースともも肉の2種類でした。
こだわり食材:宮路ファームの牛肉
「長島」にある「宮路ファーム」は、肉牛の中でも最上級クラスのA5等級のNo.12という牛を何頭も作り出しているファーム。
牛にストレスをかけない飼育と、種付けから肥育まで行う一貫経営により、質の高い肉を作ることにこだわっています。
シンプルに焼肉
『長島大陸食べる通信』には、「島のしおけ」として、島の特産品である焼酎に合う酒の肴をのレシピを紹介しています。
今回は「黒毛和牛のスジ肉を使った煮込み」と、その煮込み汁を使った「肉じゃが」が紹介されていました。
ところが、送られてきたのは美しいサシの入った焼肉用のスライスでしたので、煮込むのはもったいない! となり、シンプルに焼肉でいただくことにしました。
なんと言っても主役はこの牛肉。鮮やかな肉色に美しく広がるサシ。
食べる前から期待値がグングン上がります。
これを七輪で焼いていただきます。
材料一式。野菜と肉を少し買い足しました。
ニンニクや生姜は焼肉のタレに使います。
野菜は七輪で焼きやすいサイズにカットします。
ピーマンはハウス栽培が多く通年いただける野菜ですが、初夏〜夏が旬の夏野菜です。
ナスも美味しい季節ですね。大きく切った方が、みずみずしさを味わえます。
厚みがあるので、表面に切れ込みを入れておきました。
切ったナスは水にさらしてアクを抜いておきます。
野菜のカットが終わったら、焼肉のタレも作っておきます。
焼肉のタレのレシピは様々。
お店で焼肉をいただくときも、お店ごとにそれぞれ個性がでますね。
今回は牡蠣出汁醤油とみりん、砂糖、おろしたタマネギ、ニンニク、生姜などをベースに、味を見ながら調整しました。
香味野菜たっぷりで、辣油のアクセントが効いた甘辛ダレのできあがり。
肉がすすみそうです。
さらに、残った香味野菜と何種類かのスパイスを使ってカレーソースを作りました。
こちらは野菜につけていただきます。
準備ができました! レッツ焼肉!
七輪を使って炭火で焼いていきます。
いわゆる遠火の強火がお肉を美味しく焼く決め手。
炭火と七輪の遠赤外線効果で旨味をギュッと閉じ込めます。
肉の焼ける香ばしい香りに食欲を刺激されます。
しっかりとサシの入ったロースながら、脂の臭みやしつこさなど皆無。
質の良い肉全般に言えることですが、脂のキレが良いと感じます。
いつまでも口の中にヌメヌメと残ることがないんですね。
柔らかく、ジューシーに焼き上がりました。
一方、もも肉の方がより肉感が感じられる味わい。
ロースよりは弾力があり、噛むほどに肉の旨味が感じられます。
実は、別の産地の黒毛和牛とも食べ比べたのですが、味の濃さが全く違います。
ギュッと濃縮したような味わいで、「美味しい!」とそろって声をあげたほど。
オリジナルの焼肉のタレとの相性もバッチリ。
快晴の夏空の下、楽しい焼肉の時間となりました。
親子2代で育む「純長島産黒毛和牛」
『食べる通信』は食材付き情報誌。こだわりの食材と共に、その食材が手元に届くまでのストーリーなども楽しめます。 今回届いた「長島の黒牛」特集には、生産者である「宮路ファーム」のストーリーが紹介されていました。
親子2代で経営する「宮路ファーム」。父・宮路義輝さんと妻・和子さんの背中を見て育った双子の息子・優作さんと、健作さん。「牛が生きることを休まない、だから私たちも休まない」という言葉のとおり、365日休むことなく家族みんなで牛の世話をされています。
通常、肉牛の生産農家は仔牛を産ませる「繁殖農家」とその仔牛を買って食用などの用途に肥育する「肥育農家」に分かれているそうなのですが、「宮路ファーム」では、繁殖牛も肥育牛も育てる「一貫経営」という珍しいスタイルをとっています。
これによりコスト削減と良質な肉牛生産にこだわることができるようになりました。
牛の頭数を適正にし、一頭あたりのスペースを広げることで育成率(仔牛から出荷されるまでに生き残る割合)を上げ、ストレスを軽減することができ、結果として質の良い食肉を作り出すことができるのだそう。
また、一貫経営ゆえ、種牛にもこだわることが可能に。
「種マニア」と呼ばれる双子の弟・健作さんと、「肥育担当」の兄・優作さんの生産へのこだわりはとどまることなく、現在は20以上もの血統を育てており、国内最高級の<A5-12番>を作り出べく日々試行錯誤しているそうです。
手をかけているからこそ美味しい「黒毛和牛」
今回いただいた黒毛和牛。
日本で飼育されている和牛のうちの97〜99%(!)を黒毛和牛が占めているんだそうです。
きめ細やかな筋繊維と密に入る脂肪が特徴の肉質で、体は外国産の牛に比べてやや小ぶりながら、霜降り肉の生産能力は、世界の様々な牛の品種の中でもトップレベル。
神戸ビーフ、松阪牛、近江牛、米沢牛などブランド牛がいることでも有名ですが、とくにこの但馬牛の系統は最高級肉として広く知られています。
お値段もさることながら、優良牛の種の価格が高いこと、さらにサシを入れるために肥育期間が30カ月以上と長めで、飼育に手間をかけているので最高級肉とされています。
黒毛和牛は脂が多いと敬遠されることもありますが、良質な牛肉にはオリーブオイルと同じオメガ9の脂肪酸である<オレイン酸>を多く含みます。
融点が低く、口溶け良いやわらかな食感となるサシは、実は体にとって良質な脂なんですね。
次回は『稲花-ineca-食べる通信』から「黒小玉スイカ<ひとりじめBonBon>」が届く予定です。お楽しみに!