ハードボイルド・「磯料理」の世界 ~ 食べ歩きマニア道 其の9【タベアルキスト】

先日、メシ通編集部のTが東海地方の某県まで魚を食べに行ったそうだ。さすがメシ通編集部。日本は島国、あらゆるところで美味しい魚をいただける。今回ご紹介するのは、神奈川・小田原「磯料理一吉丸」。金目鯛のしゃぶしゃぶに活平目の姿造りなんて、編集Tも食べてないに違いない。もちろん別に妬んでなどいない。

エリア小田原市その他 (神奈川)

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みなさん、こんにちは! メシ通レポーターのタベアルキストWakuiです。

各担当者が自分の好きな料理を徹底的にマニアックに掘り下げ、みなさんに魅力を伝える当シリーズの第9弾。

今回は現地に訪れなければ絶対に味わえない「磯料理」の魅力に迫ります。

  

「磯料理」の世界

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私が考える「磯料理」の定義は、こちらの3つの項目に該当していることがポイントになります。

  1. 海のそばで、地魚が水揚げされる漁港から活魚や鮮魚を直接仕入れている
  2. 水揚げされた鮮魚をその日のうちに調理して料理を提供している
  3. 現地に訪れなければ味わえない、名物料理を提供している

 

漁港近くに心踊る名店あり

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そのお店は、神奈川県小田原市、江の浦漁港の近くにあります。

 

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江の浦漁港の堤防は絶好の釣りポイントということもあり、取材をした週末のこの日も多くの釣り客で賑わっていました。

 

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江の浦漁港から一歩中に入ると狭い路地があり、懐かしさが交差する時間が止まったような昔ながらの風情が漂っています。

 

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そんな場所の一角に、創業45年になる「磯料理 一吉丸」はあります。

長年魚と向き合ってきたプロならではの目利きで、毎朝知り合いの漁師から上質な鮮魚を直接仕入れ、それぞれの持ち味をいかした料理を提供しています。

屋号の「一吉丸」は船の名前で、漁師だったご主人の祖父と父の名前を一文字ずつ合わせてつけられたそうです。

 

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この日は、お店の目の前にある離れに案内されました。

 

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離れは個室のお座敷スタイルです。

 

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窓からは相模湾が一望できます。

 

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窓を開ければ心地よい潮風が頬をかすめ、目の前に広がる水平線は気持ちまでのびやかにしてくれます。

 

活平目をおろしてもらう 

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創業以来ずっと海水を引き上げているといういけすの中には、捕れたての平目やサザエが所狭しと並んでいます。

 

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先程までいけすの中で生きていた小田原産の大ぶりの平目を、内臓を傷つけないよう活け締めはやらずに、いきなりおろします。

見事な包丁さばきで、あっという間に姿造りができあがっていきます。おいしい活き造りを食べていただくための大事な要素です。

 

豪快かつ豪華絢爛(けんらん)な刺し盛りが登場

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▲刺身盛り合わせ お一人様 (4,200円~)

 

テーブルが埋まってしまうほどの大きさのまな板盛りは圧巻です。

この板盛りが運ばれてきただけで、間違いなく胸が踊ってしまいます。

この日の鮮魚は、活平目 、活サザエ 、活アワビ 、ホテタ、アジ 、マグロ 、カツオ、カンパチ 、イカ、 甘エビなど。

圧倒的なボリュームに思わず笑みがあふれます。

 

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▲活平目の姿造り(6,300円~)

 

提供される寸前におろされたばかりの活平目の姿造り。

直前まで生きていただけに鮮度の良さは抜群です。

やや厚めに切りつけられている身は、プリプリした歯応えのある食感が感じられます。

そして、透き通るかのような身はほどよくしまり、脂がのってほのかな甘みがあります。

活サザエは、磯の香りが高くはつらつとした味わいで、歯応えのよさは独壇場です。

肝は、苦さが一切なく独特の甘みがあります。

 

名物料理「金目鯛のしゃぶしゃぶ」をいただく

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▲金目鯛しゃぶしゃぶ (7,000円~)

 

見ている間に表面の脂がキラキラと溶けてくる脂ののった極上金目鯛(キンメダイ)は、切りつけも美しいです。

皮が柔らかく、適度に脂がのった一級品です。

 

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ダシ汁は、まず鯛で出汁を取り、そこに焼いた金目鯛のアラの出汁を加え、最後にカツオの削り節の出汁で整える三重層です。

まさにこだわり抜いた黄金のダシ汁です。

 

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まずは、しゃぶしゃぶ前にダシ汁のみをいただきます。

澄んだダシ汁の中に素材のうま味がたっぷり溶け込んでいます。

いつまでも飲んでいたくなる、芳醇かつ和やかな味わいです。

 

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 脂ののった鮮やかな金目鯛の身を黄金のダシ汁にくぐらせていただきます。

 

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しゃぶしゃぶしたレア感の残る金目鯛でネギを包み、自家製のポン酢をつけていただきます。

食べた瞬間に体自体が歓喜する味わいです。

口に入れた途端の口溶け感はないものの、後から強い甘みが追いかけてきます。

 

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最後に、素材のうま味が溶け込んだダシ汁を使った雑炊をいただけば、もう何も言うことはありません。

 

なぜ、「磯料理」が魅力なのか?

「磯料理」を堪能するために足を運ぶ楽しさは、年間を通してその土地の旬魚を地場の味付けで味わえることです。

そのため現地に訪れなければ絶対に味わえない鮮魚と出合えることが、人をひきつける魅力なのだと思います。

尚、今回取材をしました「磯料理 一吉丸」を含め「磯料理」のお店は、当日の入荷状況によって鮮魚が異なりますので、お店に訪ねる際は是非とも早めに予約を入れてから訪問してもらいたいです。

 

お店情報

磯料理 一吉丸

住所:神奈川県小田原市江ノ浦180
電話番号:0465-29-0211
営業時間:11:00~20:00
定休日:年末年始

www.hotpepper.jp

※この記事は2017年3月の情報です。
※金額はすべて税込みです。

 

書いた人:Masayuki Wakui

Masayuki Wakui

食べ歩きコミュニティ「Tabearukist Association」を主宰する、鮨、魚介料理、麺料理をこよなく愛するタベアルキスト。学生時代より食べ歩きを始め、現在も年間500軒以上の外食を体験し、述べ5000軒以上も食す。食べ歩きのモットーは、「百聞は一食に如かず」。

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