「ハンバーグ」を光らせよう!
最近、Twitterで話題になった「チェレンコフゼリー」を知っているだろうか。
アイスキューブで作った青いゼリーを紫外線で照らしたら、青く光るというもの。
どうやって作るのかというと、トニックウォーターを寒天で固めるだけ。
トニックウォーターの苦み成分「キナ抽出物」が紫外線で青く光るのだ。国産のトニックウォーターにはあまり入っていないので、やってみたかったら海外ブランドのものを選んだ方がいい。
紫外線を当てると、こんな感じに青白く光るのだ。
また、各種ビタミンが入り炭酸栄養ドリンクで黄色がかった色のものも光る。
こちらは黄緑色に発光する。ビタミンB2が紫外線で発光するのだ。
実は「光るドリンク」はしょっちゅう作っていたのだが、「光る食べ物」を作ろうと思ったことはなかった。
我が不明である。
悔しいので作ることにする。目指すは「光るハンバーグ」だ!
ビタミンBのサプリメントを買ってくる。ビタミンB2のみのサプリメントがあれば良いが、あまり売っていないので、ビタミンB群コンプレックスで良い。8種類のビタミンBとか書いてあるヤツ。
それを、ゴリゴリとすり潰す。
ビタミンBは独特の臭いがする。たくさん混ぜればそれだけ光るが、それだけ苦くなる可能性が高い。ビタミンB2は少し苦いのだ。
ハンバーグなので、牛乳に浸したパンに混ぜることにする。
光るかどうか不安になったので、紫外線ライトで照らしてみた。
おお、けっこう光る。良いではないか、良いではないか。
タマネギを炒めて、
ビタミン剤入りパンと一緒に肉と混ぜる。あとは焼くだけだ。
「ハ~イ! 叶ここです。光る食べ物が食べられるというので、来ました」
本日の科学実験酒場のゲストは叶ここクン。
彼女のおじいさんはスペイン人で、政府付きの魔術師だったのだ。さすがスペイン、ひと味違う。そういうわけで彼女は魔女の血統ということになる。本業は占い師。魔女的に正しい職業選択である。
錬金術的に光る食べ物と相性が良さそうなので、呼んでみた。
「これ、おいしい!」
トニックウォーターにライムジュース入れたんだ。おいしいでしょ。
では光るハンバーグを。
紫外線ライト、スイッチオン!
「すご~い! 光ってる!」
だはは、まるで怪獣みたいな肉だ。
ささ、まずは食べてみて。実は味見する時間がなくてさ。
「あ、なんか漢方薬みたい……苦い」
苦い?
「すごく変な味」
さっそく食してみることにする。なるほど。これは苦いな。
「光るハンバーグ」を作るには、ビタミンBの加減が難しい。
1人分に対して1錠が上限だろう。今回、約2錠強を入れたため、肉の旨みよりも苦みがまさってしまった。しかし1錠分では、肉が光るとはいっても、さすがにここまでハッキリとは光らない。
ソースに使うのが一番良いが、ソースのような濃い褐色に混ぜると発光が見えなくなる。あんかけのような形で出すのが一番か……。
今後に課題を残しつつ、「光るハンバーグ」は黄緑色にビカビカと光っているのだった。