多忙な現代人の食生活への最適解!?世界初「完全栄養パスタ」を食べ続けてみた

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完全栄養食パスタ。それは、未来の食事【理系メシ】

完全栄養食品! 

強烈な響きである。未来ではないか。

それだけを食べれば完璧なのだ。完全栄養食品の先駆けといえば、知る人ぞ知る、アメリカのソイレントが有名である。

アメリカ人のロブ・ラインハートの発明したソイレントは、オーツ麦の粉末と米から作ったタンパク質を基本に、大豆レシチン、食物繊維、ビタミンやマグネシウムなどの微量物質などを混ぜ合わせた粉末だ。

これにキャノーラ油と魚油を加え、水を混ぜると乳白色のドロドロした液体ができる。これを飲む。栄養素は完璧で、これだけで他には何もいらない。実にSFで未来だ。

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1食=148gのカロリーは、粉末だけの場合は510キロカロリー、オイルを加えると670キロカロリー。

つまり1日に3食または4食で2000キロカロリー前後が摂取でき、1日に必要なカロリーをカバーすることができる。

1パックは447g。およそ3~4食分である。

この全部をまとめて水1.66リットルに溶き、別添のオイルを加えてから、朝昼晩とおやつに飲む。

最初は「未来の食事だあ!」と思ったが、実際に飲み始めたら……とにかくすぐに腹が減る。

味もたこ焼きの素を溶いたような味で、おいしくもなければまずくもない。

未来の刑務所の食事はこんな感じかもしれない。

こんなものを飲んで暮らそうと思ったロブ・ラインハートの頭の中がさっぱりわからない。IT系のエンジニアである彼は、食事の時間が無駄と思って作ったのだそうだ。

「食事の時間が無駄」?

そんなことはないだろう。

 

さて本題。

日本にも完全栄養食品が登場した。それがベースフード社のベースパスタだ。

 

完全栄養食のパスタ

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これ、ソイレントと同じく1食で1日の3分の1のエネルギーと栄養をまかなうように設計されているのだが、本質的にコンセプトが違う。

 

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ベースフード社の橋本舜氏、実体験をお願いします。

 

f:id:Meshi2_IB:20180305193448p:plain自炊しようと思ったら、スーパーで何を買っていいかわからないんですよ。しいたけが体にいいのか、きゅうりは水と聞くけど本当なのか、まったくわからないんです。

 

IT企業のディレクターやプロデューサーをしていたため、超絶不規則な生活。朝は抜くかコンビニのパン、昼もコンビニの何か、夜はカツカレーかラーメン。

 

f:id:Meshi2_IB:20180305193448p:plain渋谷って他にないんですよ、あとは居酒屋さん。

 

そんなもんですわ、東京砂漠ですな。

夜中に居酒屋さんが開いてるだけマシ。

で、健康診断を受けたら、ちょっとヤバい数字が出てしまい、慌てて自炊しようとスーパーに行ったら、何を買えばいいのかわからない。

 

f:id:Meshi2_IB:20180305193448p:plain栄養のことってハードルが高いですよ。わかんないですよ。

 

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というわけで、作ったのがベースパスタだ。

ベースパスタは文字どおりに食生活のベースを目指す。

朝ごはんを食べない、夕飯はファストフードのようなデタラメな食生活でも、子どもたちが健康を維持できるのは学校給食があるため。

じゃあ給食に相当するものを作れば、栄養の知識がなくても健康診断でビクビクしなくていいじゃん、ということだ。

全粒粉の小麦を基本にあれやこれやをぶち込んだ完全栄養パスタは、現在、1カ月1万食で売れております。

ウハウハっすね、橋本社長。

 

完全栄養パスタはダイエットにいいんじゃないか

というわけで、完全栄養パスタを毎日食べ続けてみることにした。

完全栄養食なので、これだけ食べていれば栄養バランスは完璧なわけだし、当然ダイエットにもいいんじゃないかと考えたのだ。

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食べ方は簡単。

2分間ゆでます。

 

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ソースをかけて終了。

 

食べてみると、パスタなんだが、ものすごくしっかりしている。

見た目よりも腹持ちが良い。雑穀米をパスタにしたような感じで、味が複雑であきない。

 

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塩味であっさりでもよし、

 

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ガッツリなチーズ&クリームにも余裕で対応。

味の幅は広い。

栄養価がしっかり決まっているので、ゆるいダイエットにもいいかと思ったが……さすがに1週間食べ続けたらパスタそのものに飽きてきた。当たり前だ。

 

もちろん、ベースパスタ自体は麺として問題なく、食べ続けられる。

では食べ方を工夫すればいい。

ベースパスタは後味がミントのようにさわやかで、新そばっぽい。

じゃあそばとして食べたらいいんじゃないか。

 

そばとして捉え直してみた

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味は……微妙。パスタはパスタであって、そばではない。

小麦がパワフルなのであって、そば粉ではないのだ。

ということは別の小麦食品になら、トランスフォームできるんじゃないか?

 

ラーメンとして捉え直してみた

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……ありそうだな、こういうラーメン。

ラーメンにしては麺が太すぎる。スープが完全に負けている。

じゃあ太麺勝負にすればいいのか?

 

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……悪くはないが、別につけ麺にすることはねえよなあ。

 

まあわかると思いますが、ダイエットは失敗でした。

ベースパスタが悪いのではありません、私が飲みに行ってしまったのが良くないのです。

飲んで帰りにラーメンを食べ、すいません。

理屈上は低炭水化物ダイエットでやせるはずなので、心強き人の挑戦を待つ。

「完全栄養食」という観点はユニークで、これからラインアップが増えていく予定だ。

お米にちょい足しで、完全栄養ご飯にするとか完全栄養食パンとか可能性は広がるのだ。

普段の食事にうまく取り入れて、栄養に過不足のない生活を送りましょう。

basefood.co.jp

 

書いた人:川口友万

川口友万

サイエンスライター。科学情報サイト『サイエンスニュース』の編集統括。企業取材からコラム、科学解説まで、科学をテーマに幅広く扱う。東京・武蔵小山で、毎週日曜日のみ、肉に電気を流して食べたり、ワインを超音波で振動させて飲むイベントバー『科学実験酒場』を主宰。

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