出汁いらず、水ときのこで美味しい「豚きのこそば」が年末年始の胃と財布にもやさしい【ツジメシの週末メシ】

こんにちは。プロダクトデザイナーときどき料理人、ツジメシこと辻村哲也です。「ツジメシの日常メシと週末メシ」シリーズ、今回は日常メシ。

何かと胃腸に疲れがたまりがちで、食材の値段も高騰する年末年始。そんなこの時期の胃にも財布にもやさしくて身体も温まる、手軽な温かい汁そばです。

鰹節や昆布などの出汁は使わず、通年価格が安定しているきのこたっぷりと豚肉、調味料だけでしっかりした美味しさ。きのこはうま味の舞茸とえのき、食感のなめこを組み合わせました。豚は片栗粉をまぶすことでパサつかず、汁に適度なとろみもついて身体も温まります。

10分加熱するだけできのこのうま味をしっかり引き出す理屈、そのほか今回なぜこの作り方なのか、レシピ中の※印の注釈を後半に書いていますので、よろしかったら最後までお付き合いください。

 



 

ツジメシの「豚きのこそば」

材料(1人分)

  • 舞茸 70g
  • えのき 50g
  • なめこ 30g
  • 豚バラ肉スライス 80g(約3枚)
  • 塩 1g(ひとつまみ)
  • 片栗粉 小さじ1
  • そば 1束
  • しょうゆ 大さじ1.5
  • みりん 大さじ1.5

作り方

今回使うきのこはこちら。※1
舞茸は食べやすくほぐし、えのきは根元の硬い部分だけ切り落とし、長さを半分に切り、ほぐす。なめこはさっと水洗いして水を切っておきます。※2

 

豚バラ肉は3-4cm長さに切り、片面に塩と片栗粉をまぶします。写真のようにざっくりで大丈夫です。※3

 

鍋(16cmくらい)に水200ml(分量外)を沸騰させたたら一旦火を止め、水100ml(分量外)、きのこを入れさっと混ぜ合わせたら、蓋はせず、最弱火に10分かけます。※4

ここでそばを茹でるお湯も沸かしておきましょう。(1人分1Lが目安)

 

10分経ったらしょうゆとみりんを加えて火を強め、沸騰したら火を止めます。※5

 

豚バラ肉を広げて並べ、このまま余熱で火を通します。

 

仕上がりの時間に合わせてそばを茹でます。

 

肉の色が薄っすらピンクくらいに変わっていたらOK。もし生っぽいようなら混ぜながら弱火で色が変わるまで加熱しましょう。

汁の味をみて、足りなければ塩(分量外)で調整します。

丼に茹でてしっかり湯を切ったそばを入れ ※6 、きのこと豚の汁をかけたら出来上がり。お好みで七味唐辛子やおろししょうがを添えてもいいと思います。

きのこの旨味たっぷり、やさしくて、でもしっかり美味しい。年末年始に疲れた胃にもしみる味です。ぜひお試しください。

 

なぜこの作り方なのかの長い注釈

※1
きのこは種類によって味のバランスが異なり、2-3種類を組み合わせるとより美味しく感じるようです。今回はうま味の舞茸、うま味もあり麺とのなじみのよいえのき、とろみと食感のなめこの組み合わせにしました。このほか、しめじを使うのもよいと思います。合わせて150gが目安です。

※2
一般的に栽培物のきのこは洗わず使いますが、なめこは乳酸菌による酸味が出てしまうことがあり、その酸味を落とす意味でもさっと水洗いしてから使うのがよいようです。

※3
薄切り肉は長く加熱すると汁に味は出るものの肉自体の味は抜けパサついてしまいます。そのため、脂が多くしっとりしやすいバラ肉を最後に加えています。汁より具の肉はやや塩分が高い方が美味しく感じるので塩で下味をし、片栗粉をまぶして余熱で火入れしてしっとりつるんとした食感にしました。豚肉からも多少味が出るのを期待して片栗粉は片面だけにしています。

※4
きのこのうま味成分というと「グアニル酸」というのを聞いたことがある方もいらっしゃるかと思いますが、このグアニル酸、生のきのこはほどんど含まれておらず、干したり、60-70度の温度帯で酵素を働かせることで生成されます。そこできのこの出汁を取るには水からじっくり、というのが定説なっています。

今回は手っ取り早く60度からスタートするべく、水を沸騰させたところに差し水ときのこを加えて水温を60度程度にし、そこから最弱火でゆっくり温度を上げることにしました。温度が上がりすぎるのを防ぐため蓋はしません。

うま味はアミノ酸系(昆布などのグルタミン酸)+核酸系(肉や魚のイノシン酸、グアニル酸など)が合わさると相乗効果でより美味しく感じます。そこできのこと昆布の組み合わせが推奨されたりしますが、きのこ自体にもグルタミン酸は含まれていて、うまくグアニル酸を作れれば、いわば「1人うま味ブースト」が発動されるそうなので今回昆布は使いませんでした。味付けにしょうゆを使うそばの汁なので、しょうゆのグルタミン酸に期待できるということもあります。

※5
みりんのアルコールを飛ばし、しょうゆにも火を入れてまろやかにするため一旦沸騰させています。

※6
丁寧にやるなら、温かいそばにする場合も一旦冷水で洗ってから再度お湯で温め、湯切りして使うとよりすっきりします。そばによっても指定が違うので、裏書きまたは好みに合わせてください。

 

作った人:ツジメシ

ツジメシ

本名は辻村哲也、ツジムラの飯でツジメシです。本業は各種製品を手がけるプロダクトデザイナーながら、料理好きが高じて間借り飲食店でも料理中。手抜き日常食からマニアックな料理まで図解したレシピが人気。著書に『付箋レシピ デザイナーときどき料理人のスケッチごはん』(アース・スターエンターテイメント)。

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