家系っておうち系ちゃうで。みなさまこんにちは。京都のラーメン担当・メシ通レポーターのナガオヨウコです。
ここ数年で、関西にもちらほら家系ラーメンが登場してきています。しかしまだ、家系は一般的ではありません。「家系って何? おかんが作るラーメンのこと?」って思う人も多いようです。
家系ラーメンにははっきりした定義がないようなのですが、そもそもは横浜が発祥。こちら「初代 麺家 あくた川」は、店主の芥川さんが東京・家系ラーメンの名店「武蔵家 中野本店」出身。
「京都にも、おいしい家系ラーメンを伝えたい!」とオープンさせたお店なのです。
「初代 麺家 あくた川」は2016年2月にオープン。場所は、同志社大学・今出川キャンパスの西向かい。烏丸通り沿い、今出川通りと上立売通りの間の西側です。
いつも行列ができているので、気になっていたという方も多いのではないでしょうか。
オープンからわずか半年後の2016年11月には、立命館大学東門すぐの場所に、2号店「2代目 麺家 あくた川」ができています。こちらも行列店。
厨房がほんまに目の前、のカウンター席。明るくて入りやすいお店です。
店長の柴田達哉さん(26歳・独身)。
「ウチは家系ラーメンですが、お客さんのほとんどは家系って意識せずに食べていると思いますよ。関西では家系ってまだまだ一般的ではありませんからね。
お客さんの7割は、同志社や京大といった近隣の大学生。一人暮らしをしている子も多いから、顔を覚えているお客さんには『おかえり!』って声を掛けてます。弟や妹がおうちに帰ってきてくれたように感じるんですよね。ねっ、家系っぽいでしょ?」
ってそれ、家系って言っちゃっていいんですか!?
「家系の特徴は、豚骨を中心に鶏ガラを合わせたスープ。スープはどんどん進化していて、最近、昆布を合わせるようになりました。昆布を入れると、トッピングののりとむっちゃ相性が良くなるんですよ。かえしには、チャーシューの煮汁を合わせた醤油を使っています。
関東の家系との違いは、醤油の軽さ。関東は醤油の味が強いので、関西人にとってはしょっぱいと感じるようです。ですからウチのスープは、コクもうま味も濃いけれど、後口がさらっとしているんですよ」
▲らーめん・並(650円)
ラーメンはこちらの家系・豚骨醤油1本勝負。なお、中盛りは+100円、大盛は+200円。
1杯 650円って、京都のこだわりラーメン界で最安値だと思います(ナガオ調べ)。並の同価格で、麺半分+味玉に変更もできますよ。
チャーシュー・ほうれん草・のりのトッピングは、家系の特徴のひとつでもあります。
まずはスープをいただいてみます。うん、豚骨が強めで濃厚。鶏皮で作られた鶏油(チーゆ)のコクがすんなりなじんでいます。でも、醤油タレが軽いのでするーりするーり、ごくごくと飲める。
優しい味が口いっぱい、体いっぱいに染み渡ります。うまい、うまい、うまい。
麺は中太ストレート、並で約160gです。この麺がね、とにかく秀逸なのです。小麦の味がちゃんと感じられて、濃厚なスープとよく絡まる。この麺、京都では他で食べたことないなあ……。
お聞きすると、中華麺は東京・酒井製麺のものを取り寄せているのだそう。酒井製麺は、関東などの家系ラーメン店御用達。噂によると、酒井製麺は「本当の家系ラーメン店にしか卸さない」のだとか。
すみませんチャーシューかじりかけです。チャーシューがですね、これまたヤバい。ちょいレアチャーシューなのですが、 バーナーで炙っているため香りがふんわあああり。濃厚ラーメンのアクセントがチャーシューの香りって、そんなのアリですか!? んもーたまらん。
味変アイテムで、おいしかったのがお酢。一気にさっぱり感が増しますよー。どばーっとかけるのではなく、ちょっとずつかけるのが私なりの小さなこだわり。今から食べる部分にだけお酢をかけて、他の部分はそのままの味で食べると、2種類のスープを味わっている気分に!
ここで気になっていたのが、テーブルに置かれているマンガ風のイラスト「ごはんの食べ方」。白ごはんにスープや豆板醤を混ぜるとおいしいそう。これ、写真をマンガにかえてくれるアプリで作成したそうですよ。
ということで、もちろんごはん(+50円)を注文! ごはんはおかわり無料です。
まずは、ラーメンに、おろしにんにくを投入。
ごはんに豆板醤を乗せ、にんにく風味のスープを入れます。
のりに、ごはん、お漬け物を入れて巻いて食べます。
う、う、うまいいいいいい!!!!
ごはんと混ぜることでスープの濃さが薄まるのですが、そこに豆板醤の辛みとニンニクがきいてくるんです。これだけで一品完結しちゃう感じ。
ラーメンのシメに最高! 明日の朝ごはんにしたい! お酒飲んだ後のシメにもしたい!!
ラーメンもごはんもおいしくいただきましたー!!
お店には、常連帯表というものが掲示してあります。昇段試験に合格すると、師範代・黒帯などランクに応じてサービスが付くというもの。
初来店時に、いきなり昇段試験は受けられません。「あくた川」への愛がある人が、帯をもらえるのだそう。
そしてわたくし、ちょっとびっくりしたことがあります。それは、接客が素晴らしいということ。接客というとマニュアルに沿ったおもてなしとか、マニュアルのない心づくしって思いがちですが、そういうのではありませんでした。笑顔も、会話もナチュラルにイイんですよ。
左の学生アルバイト君は「ここでアルバイトをしようと思った理由は、とにかく雰囲気が良かったから。1度食べに来ただけだったんですが、店長もスタッフも、自分たちが楽しんでいるというのが伝わってきたんですよ」。
わかる、わかります!
わあっ、本当に心から歓迎してもらってる……!! って思いましたもん。
「喜んでほしい」という心は、ラーメンの味にもあらわれております。ラーメンとごはんのセットが、こんなにエンタメなひとときになるなんて。ああ、また食べたくなってきた。
お店情報
初代 麺家 あくた川
住所:京都府京都市上京区上立売東町44
電話番号:075-411-9083
営業時間:11:30〜22:00 (※15:00〜17:00ごろはスープ調整)
定休日:日曜日