京大卒の女流プロ雀士・勝負に勝ち続けるための「7つの習慣」
プロ雀士の松嶋桃さん。
京都大学法学部に現役合格し、卒業後は同志社のロースクール(法科大学院)に特待生合格するなど、華々しい学歴を持ちながら、法曹の道よりも麻雀を選んだ異色の才女。
プロになってからは、第6・7期夕刊フジ杯麻雀女王決定戦団体戦優勝をはじめ、数々の大会で好成績をおさめているほか、2016年10月に放送された『パネルクイズ アタック25』(ABC朝日放送)の「30代女性大会」に出演して優勝したことも話題になりました。
そのルックスをいかして、2017年まではプロ麻雀士アーティストグループ「More」のメンバーとしても活動。
そんな松嶋さんが、先頃『京大卒雀士「戦わない」受験勉強法』(KKベストセラーズ)を出版されたということで、集中力を高めるコツなど、「勝負に勝ち続けるための7つの習慣」を聞いてきました。
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京大卒雀士「戦わない」受験勉強法 一流大学に合格するために必要なたった5つのこと
- 作者: 松嶋桃
- 出版社/メーカー: ベストセラーズ
- 発売日: 2017/12/19
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
1.勝負ごとを「受験」と捉える
──著書のタイトルに「戦わない」とありますが、実は、あまり好戦的なタイプではないとか?
どちらかというと「平和に生きていきたい」と思っているほうなんです。でも、対局に勝たないといけないとき、前日には肉を食べます。愛称で「京大式小型肉食獣」って言われているのは肉が大好きだからなんです。焼肉、ステーキ、ラムしゃぶ、馬の生肉もいただいています。ジビエ鍋もダシが野菜に染みておいしいですよね。肉を食べると、パワーをいただいて元気が出るような気がします。
──本の中で、受験科目を麻雀の役に例えて書かれていたのが面白いですね。
受験と麻雀は似ているところがあると思います。対局で集中できなかった時、どっちの牌を捨てたらいいんだろうと迷って、どうにかして正解を出さなきゃいけない時、ミスに気づいた時や手応えがない時も受験と似ています。
麻雀は2周したら終わりで、7、8分くらいの休憩時間があるんですが、その間にチョコレートを食べます。受験生の時も、休み時間にはチョコを食べていました。ガルボが好きですね。脳みそが糖分を必要としているので、食べると頭が良く回る気がします。昔からやってきた麻雀でメンタルの強さを鍛えられていたので、受験もいい結果につながったと思います。
2.「ゾーン」に入るためのスイッチを用意する
──たしかに、受験も麻雀も1回の勝負に集中して戦うという意味では共通していますね。では、集中するためのコツ、いわゆる「ゾーンに入る」ために必要なこととは何でしょうか?
ゾーンに入るためのスイッチを持つことが大事ですね。『なな色マジック』(あさぎり夕/講談社)という漫画が昔好きだったんですが、主人公の菜々ちゃんが、頑張らなきゃという時に7カウントするんです。そうすると頑張れて成功する。こういうふうに数を数えるとか、頬をたたくとか、自分なりのスイッチを設定するといいのではないでしょうか。私の場合はキラキラしたきれいな麻雀牌を持っていて、集中したいときはポケットの中でぎゅっと握ります。お守りみたいな感じで。スイッチはなるべく簡単なものがいいと思います。
3.慌てないためのルーティーンを準備しておく
──対局の前日に肉を食べる、休憩時間にチョコレートを食べる、麻雀牌をお守りがわりに握る……お聞きしていると、いろいろなルーティーンがあるようですね。
プロの先輩に、逆にルーティーンができなくなった時に不安になってしまうと言われたので、験担ぎはしない、ルーティーンを決めるということは特にしたくないと思っていたんですが、たしかに意外と気づかないうちにやっていたことが多いですね(笑)。知らない間にやっていることが自分を強くしてくれるのかもしれません。
4.最大のパフォーマンスを上げるために「ゾーンに入る方法」を身につける
──そうしたルーティーン以外に、集中力を高めるために気をつけていることはありますか?
形から入ります。実況のお仕事とか、頭を使うのが必要なときは眼鏡をかけてみるんです。実はだて眼鏡なんですけれども(笑)、眼鏡の枠があると集中力が増して、ゾーンに入りやすい気がしますね。逆に服装は締めつけないもので実用性を重視しています。夏はエアコンが効きすぎて寒いこともあるし、冬は逆に暖かすぎると頭がぼーっとしてしまうので、温度調節のしやすい格好をしています。足元を不安定にしたくないので、靴はヒールのない踏ん張れる靴を履いています。
──「温度調節」とか「踏ん張れる靴」とか、まるでスポーツのようですね。
麻雀もスポーツのように姿勢や呼吸が大事です。そういう意味でも麻雀は健康にいいと思います。最近では「健康麻雀」なんてことも言われ、認知症の予防にいいという説もありますが、若い人にとってはきれいな姿勢を保つことが健康にいいのではないでしょうか。
あと、麻雀中はおなかが空かないんです。あるグラビアモデルの女性は、「麻雀がダイエットになる」とも言っていました。10時間くらい対局していても、麻雀に夢中になってしまって、おなかが空かないですし。それと、集中するためには食べ過ぎない、満腹にならないことも大事なんです。ただ、食事制限をしていても、炭水化物を食べていないと不安になるので、効率の良いもの、例えばお餅とかうどんなど炭水化物は取ります。
5.「勝つためのマインドセット」を鍛える
──我々は仕事に集中しようと思っても、ついつい気が散ってしまったりして、続けることがなかなか難しいです。集中力を維持するために、よい心構えのようなものはありますか?
集中を維持する方法としては、「今はこれだけ考えればいい」という状態をラッキーだと感じるのがいいのではないでしょうか。他のことは考えずに「今は思いっきりこれができる、たのしい時間」と考えると気が楽になると思いますよ。自分からその状態に攻めていく、飛び込んでいくほうが強い気がします。
私も『アタック25』に出演した時は、前の日「間違ったらどうしよう」と不安になって、プレッシャーでぐったりしてました。嫌でもプレッシャーがかかってしまう仕事もあるけれど、「受けてしまったし、今はこのことだけ考えるよう」「やらないと終わらない」と考えるんです。そうすると雑念は消えてしまいます。
──でも、「失敗するかも」と考えだすと、いてもたってもいられなくなります。
「失敗したらどうしよう」と考えがちな人は、慎重だから案外失敗していないのでは。過去に1回くらい失敗があったかもしれないけれど、人間だし、しょうがない。だから、「あの時は失敗した」と考えるのではなく、むしろ成功したことを考えたほうがいいと思います。
私もミスするんじゃないかって不安になりますが、麻雀でミスをするのって1年に1回くらいしかしないんです。それより、この前あんな手で勝った、3連勝した、ギリギリまで我慢した、など、小さな成功体験をたくさん作るといいと思います。
──いいことをためておくのは難しいですね。ついつい、できなかったことばかり思い出してしまいます。
成功体験をすぐ思い出せるようにしておくといいのでは。よかったことをメモしておいて、緊張した時や不安な時こそ、そのノートを見るようにする。よかったことを見えるようにして意識づけしておくと、つらかったときの支えになります。自分を上手に褒めることが大事だと思います。
6.「相手の立場に立って考える癖をつけること」が勝ちにつながる
──「麻雀で強い人」とはどういう人ですか?
強い人に見られる共通点は、それぞれが自分なりのロジックを持っていることです。確かに囲碁や将棋と比べると、麻雀では運も重要です。しかし、そこがことさらに強調されがちかなとも思っていて。「人事を尽くして天命を待つ」と言うように、確かに麻雀には運も関係するのですが、運がいい時に自分がどう動くか、どれだけのパフォーマンスを出せるかということも重要です。
──つまり、運だけではないのですね。
運が強ければ勝てるというわけではありません。応用力も大事です。相手の見えない牌を踏まえたうえで論理的思考力が問われます。相手の牌がどうなっているかは、相手の立場になって考えるとわかります。捨て牌を見て、相手が今持っている牌を推測するのです。いわば「相手の立場に立てる人」が強いのだと思います。
──なるほど。
その時、相手がポイントをあまり持っていなければ、もっと欲しいと攻めてくるはずだし、相手の捨てた牌を見て、自分に置き換えて、相手が何を考えているかを予測する。それを(卓を囲んでいる)3人分やるのです。逆に、相手に自分がどう読まれているかまで読んで、自分のところだけでなく全部見えてくると、麻雀が運だけでないゲームであることがわかって、より面白くなってくると思います。
7.勝つために「食べ放題」のお店を選ぶ
──対局の前日には肉を食べるということでしたが、対局で勝ったときのご褒美で食べるものは何かありますか?
勝負に勝った後にも肉を食べますね。勝ったあとは脳に報酬を与えないといけません。肉のなかでは特にしゃぶしゃぶがいちばん好きで、昔から行っている食べ放題のお店に行きますね。自分が一番好きなものを食べると、「やっぱり私はこれが好きなんだ」って確認できるので幸せになれます。勝った後は、普段よりおいしく感じられて格別です。野菜もめちゃめちゃ食べますよ。
──お気に入りのお店はありますか?
名古屋でも東京でも、お気に入りのお店は「木曽路」です。ごまだれやポン酢もおいしいし、特に赤坂見附のお店は食べ放題をやっていて野菜もたっぷり食べられるのでよく行きます。※閉店
それからラムしゃぶのお店「金の目」、ここも食べ放題で気に入っています。ジンギスカンの食べ放題なら、「小樽ジンギスカン倶楽部北とうがらし」というお店。そんなに高くなくて満足感があるところが好きです。
──どこも食べ放題なんですね。それほど食べ放題にこだわる理由は何ですか?
食べ放題が好きなのは、もっと貪欲に食べたいと思うから。我慢しなくていいところで我慢するのが嫌なんです。常に「○○をしたい」という気持ちを持っていないと欲望が枯れる気がするので、欲望を満たすことは大事だと思います。
気づかないうちに、いろいろなルーティンをやっていたという松嶋桃さん。
教えていただいた「7つの習慣」は、どれも参考になるものばかりでした。
まずは、自分のできそうなものから始めてみてはいかがでしょう。
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