国内・海外のスマートフォンやガジェットの最新情報を動画でレポートするITジャーナリスト富永彩乃。セルフィー(自撮り)やSNSなど、主に女性向けテック・WEBトレンドを研究、取材している。
美と知性を兼ね備えたそのルックスと専門的な知識で、世界中から注目を集める新鋭のITジャーナリストの彼女だが、ひとまずこちらの写真をご覧いただきたい。
こちらの女性、実は同一人物。このとき体重は74kgだった。
彼女は3年半あまりで22kgのダイエットに成功し、華麗な変貌を遂げた。
▲一目瞭然! ダイエットサプリの宣伝みたいな写真だが、一切加工はしていない
それどころか、彼女のITジャーナリストとしての成功の背景には、ダイエットが大きく関わっているという。
彼女の人生を変えたダイエットとはどんなものだったのだろうか。本人に話をうかがってみた。
話す人:富永彩乃(とみなが あやの)
東京都出身。海外のモバイルを中心にビデオ取材を続けるITジャーナリスト。セルフィー(自撮り)に特化した端末や文化を独自に研究している。
オフィシャルサイト:http://ayanotominaga.com
1週間でこのお腹をなんとかしたい!
まず、なにはなくともダイエットのきっかけから聞いてみることに。
── 痩せるきっかけはなんだったのでしょう。
富永:ダイエットのキッカケは今から5年前、29歳のときです。沖縄に行くから水着が着たくて1〜2週間前に急きょダイエットを決意したんですよね。今までダイエットなんてしたことがなくて、当然知識もゼロ。食事制限もしたことないし、どうやって痩せるかも知らなかったんです。
── となると、頼るのはやはりシェイプアップのプロしかない。
富永:そう。当時テレビでは、筋トレを推奨するジムの広告が多かったんです。「お金を払って痩せられるならやってみるか」と、さまざまなジムを比較しました。結局、地元のジムが値段も安くパーソナルトレーニングが受けられるということで入会。それがちょうど旅行の1週間前ですね。「1週間でこのお腹どうにかしたいんです!」と。今考えたら無茶なことを言って、パーソナルトレーニングに週3で通いはじめました。
── すぐに成果はでましたか?
富永:ジムに入会してはじめて自分の体重と向き合ったんですよね。74kgあったんじゃないかな。それまで体重を測ってなかったのでもっとあったのかもしれませんが(笑)、知る限りのピークはそこです。でも、さすがに1週間でお腹はへこみませんでしたね。
── 徐々にウエイトを落としていったということですね。
富永:半年くらいで5kgくらい落としました。マシンの使い方も覚えたしパーソナルから、自主トレに切り替えたのですが、そこから伸び悩んでしまって。そんなとき、同時期に友人がボディビルダー向けのジムに通っていて、みるみると痩せていったんです。そこで気になってパーソナルトレーニングの体験へ行きました(下動画参照)。そしたら、そこでジムのトレーナーさんから「2カ月でいいから毎週来てみない?」と言われたことで、地元のジムをやめ、毎週通うようになりました。
【筋トレ女子】背中と肩トレ!- Back and shoulder workouts! #002
ダイエットは「食事が7割」
── ダイエットで重要なのは、運動とやはり食事ですよね。
富永:そのとおりです。ジムを変えてからは特に食事がガラリと変わりました。それまでは食事の減らし方もわからなくて、ダイエット当初は1日おにぎり2個とかで生活していましたが、それがサラダだけの生活に変わり、でもそれじゃいけないということを知ったんです。
── 具体的にはどんな食事内容に?
富永:野菜から食べ、タンパク質をとり、少量の糖質。これが鉄則。参考にしたのはトレーナーさんの持ってきていたお弁当です。お弁当箱に入っていたのは、ブロッコリーと、白身だけのスクランブルエッグ、ピーマンの肉詰め。減量食とはこういうものなんだと初めて知りました。正直おいしそうだし、こんなに食べていいんだと。
▲彩乃さんのある日の減量食①。鶏ムネ肉、ゆで卵、春菊は常連の食材だ
▲彩乃さんのある日の減量食②。やはりここでも鶏肉と卵が登場。ブロッコリーもよく口にするそうだ
── 食事が変わったことで、自分の体も劇的に変化を遂げた。
富永:ダイエットのきっかけは筋トレだったんだけど、やっぱり食事が7割だと思いました。というか、筋トレを始めて食事の大切さを知ったという感じです。どっちも欠けちゃいけない。ただ、食事は毎日のことなので、やはりその日によって食事の質が悪くなる日もあるんですよね。「これ食べてもいっかー」って甘えが出たり、外食しなくちゃいけなかったり。
── 仕事をしながら生活していると、避けられないですよね。
富永:食事が乱れてきたときは、筋トレで気持ちをリセットするという感じでしょうか。「こんな鍛えたんだから、筋肉のためにいいものを食べなくちゃ!」ってモチベーションを上げ直すというか(笑)。とにかく食事がくじけそうになると、筋トレで補う。その繰り返し。あと筋トレは自律神経や気持ちの乱れにも効くのか、嫌なことや悩みが合っても、筋トレするとリフレッシュします。極端な話、仕事での失敗や失恋しても、筋トレすればどうでも良くなりますね。時間と思いをかけて期待しても人の心は変えられないけど、自分の身体は変えられる(笑)。これがボディメイクの面白いところだなと思います。
お酒を強要する人とは仕事もうまくいかない
── フリーランスでジャーナリストをされていますが、そうすると営業や接待など食事のお付き合いなんかもありますよね。どうやってダイエットとの折り合いをつけていたんですか?
富永:やっぱり大変ですよね。クライアントさんに嫌な思いさせたくないし、でも食べられるものは限られてるわけで。ワガママを言いたいわけじゃないけど、「私は炭水化物食べられないから、これだけでいいです」なんて言うと向こうは余計に気を使っちゃうし。でも、見た目にも着実に痩せていっていましたし、結果を出してるから、みんな理解してくれました。これでずっと太ってて体型が中途半端だったら「何こいつ」って思われるかもしれないけど(笑)。それに「これしか食べられない」って言うと、みんな理由を聞くじゃないですか。そこからダイエットの話題に広げたりと、私の場合はそうしていますね。ダイエットは大なり小なりみんな関心のある話題だと思います。
── どうしてもお付き合いでお酒を控えることができないという声をよく聞きますが、あやのさんの場合はいかがでしたか?
富永:それよく聞かれるんですよねー! 私も最初は付き合いで飲まなきゃいけないって思っていました。でもよく考えたら、飲んだからって仕事につながったかと言われるとそれは違ったなと思います。私の場合はお酒の席は好きだから、行くことに抵抗はありません。ソフトドリンクを飲んでいても気にしない人とはお食事に行きますし。そういう人はリスペクトしてくれるんですよね。
── 相手との間柄や距離感で決まる部分もありますものね。
富永:仕事で中国へ取材に行くこともありますが、中国はお客様をお酒でおもてなしする文化なんです。ただ、フィットネス人口も世界的に増えており、現地でもほとんどの方が理解してくださいました。逆に日本ではなじみが薄く「いいから飲みなよ〜」とか言う方がいますが、そういった強要をする方とは、仕事もうまくいかない(笑)。
── よくわかります。
富永:ただ、すべてが私と同じケースとは限らないし、どっちを優先するかだと思います。お付き合いの方が大事とか、お酒がないと人生の楽しみが半分なくなるって人は飲めばいいと思う。私はそれよりも素敵なお洋服が着られたり、自分の写真を撮ることや、ボディラインが締まってくるほうが楽しいというだけの話で。
── なるほど。
富永:「2カ月間、お酒を抜いてみて」ってトレーナーさんから言われたことが大きかったですね。一生飲んじゃいけないわけじゃないから、とりあえず2カ月間だけお酒を抜いてみる。すると身体が面白いくらい変わりました。アルコール摂取は筋肉の成長を妨げると言われているのですが、お金かけてせっかく筋肉を作ったのに、お金かけて酒飲んで筋肉を減らすことがどうにももったいなく思ったんです。
── お酒はやっぱり「敵」なんでしょうか……。
富永:いえいえ、お酒飲みながらトレーニングしてるボディビルダーさんもいるし、本当に人によるとは思うんですよ。大事なのは、心と身体のバランス。ただ、もう私お酒飲んでも楽しくないんです。お酒に弱くなったし、次の日酒臭いし、ぼーっとしちゃって身体がだるくて……。太ってたときはなんとも思わなかった。鈍感だっただけで、常にだるかったんでしょうね(笑)。あと酔うとキャパ以上に食べちゃう。普段節制してるから余計に。私の場合はお酒とは両立できなかったってことですね。
立ちはだかった仕事との両立の壁
── 富永さんは現在はITジャーナリストの他に、フィットネスビキニという競技の選手もしているんですよね。そもそもフィットネスビキニってどんな競技なんでしょう?
富永:ボディビルにも近いんですが、単に筋肉の力強さとか美を競い合うというより、いかに引き締まって全身のバランスが取れているかが評価される競技なんです。なので、ビキニとかハイヒール、アクセサリーなんかも着用でき、女性的な美しさを演出できるという特徴があります。
── その競技にいま取り組んでいる最中だということですね。
富永:そうですね、一昨年末から選手を目指し始めました。その頃は目に見えて痩せてきて、セルフィー(自撮り)が楽しくなったことで、セルフィーに特化した主に海外のモバイル端末に興味を持つようになりました。それがトレンドとも合致していたこと、またジャーナリストとしても駆け出しということで、いろんな場所に顔を出したり、海外出張の機会も増えてきました。すると、定期的な食事やトレーニングが難しくなり、体重にもそれが反映され、まったく減らなくなってしまった。
── いわゆる「停滞期」というやつでしょうか。
富永:はい。そんな時に「大会に出るのやめる?」とトレーナーさんから言われ、本当に迷いました。仕事をしなければジムにも行けないけど、このままでは結果が出せない。でも、絶対に両立がしたいとさらに気持ちを強く持つきっかけになりました。どこでも自炊を出来るようにトラベルクッカーを買ったり、キッチンのある宿を選んだり。ジムが近いホテルを予約したり。できることはなんでもやってやろうと。
── やってみてどうでしたか?
富永:海外の自炊は楽しかったです! スーパーに行ってその国の食文化に触れることができるし。観光らしいレストランには行けないけど、地元のボディビルダーさんみたいな生活はできましたね。ただ、失敗もありました。中国で、いつものコンビニの気分でゆでたまごを買ったらすごく塩っぱかったんです! お粥に入れるやつなの(笑)。
── 漢字の文化圏でもさすがにそれは見分けられないですよね。
富永:国ごとの特徴もありますよ。アジアは調味料が充実していますね。中国はカロリーの単位が「キロカロリー」ではなく「キロジュール」なので再計算が必要だったり。一方、アメリカは楽勝。ダイナーに行ってもサラダチキンとか、スーパーにもプロテインバーとか、ダイエット・ビーガン用にさまざまな商品があります。
ダイエット最大の敵は自分自身の心
── 結局、いろいろ苦労や工夫を乗り越えた末、フィットネスビキニの選手としてステージには立てたんでしょうか。
富永:結果、目標体重に到達し選手としてステージに立つことができました。で、ありがたいことに仕事にとってもプラスの面が大きかった。私のようにメディアに露出も出来る記者はなかなかいないので、企業の広報さんから見ても珍しいんでしょうね。いろんな企業から呼んでもらったり、気にかけてもらったり……仕事の幅が広がりました。
── さすがに仕事にまで好影響があったとは!
富永:まぁ以前の体型のままで30代だったら、普通ですよね。若いときは体型に関わらず勢いで行けたけど今は違います。ファッションとかビューティー系のお仕事なら身体に気を使うのは当たり前ですが、近年ヘルスケアや医療のIT機器は増えてきていますよね。なのにテック系の記者にヘルシーな人がいない(笑)。逆に、フィットネスに関わる人はテックに興味ないですしね、橋渡しができたらいいなと思っています。
▲2017年、フィットネスビキニの大会に出場したときの模様
── あやのさんにとってダイエットとは?
富永:自分に向き合うこと。自分のことをよく知ることだと思います。自分に向き合うってすごく辛いけど、だんだん年をとるにつれ自分の弱いところを言ってくれる人は少なくなりますしね。そりゃ太ってたときは嫌でしたよー!「もっと痩せたほうがいいんじゃない?」とか助言されるのが(笑)。
── ある意味、痩せたこと自体よりも価値ある、宝モノですね。
富永:そう、素直になることが大事です。みんな痩せたいのは同じですからね。でもみんな「どうやって痩せたの?」とか聞いてくる割に「でも〜」とか言う。
だからあえて言います。
身体を変えるには生活を変えるしかない。
生活を変えるには心を変えるしかない。
自分の考えや想像にないことを受け入れるしか、変わる方法はない。
本当に変わるには、新しいことを受け入れる、未知の世界に飛び込む勇気が必要だと思います。
── 貴重なお話&写真、ありがとうございました!
▲やっぱりこの写真が衝撃的。4年で人はこうも変われる!!
書いた人:蛯原天(えびはら てん)
タレント・フリーアナウンサー / 八丈島うまれ、伊豆大島出身。グラビアやバラエティで活動の傍ら、2010年よりインターネットライブメディアの世界へ。出演だけでなく企業のライブ配信の企画構成から技術、広告、執筆まで一手に請け負うマルチプレイヤー。好きな食べ物は赤身肉とチョコレート。